亡びの唄
3rd operater01
プロローグ
白髪に赤眼、フードを被った旅装の少年が活気に満ちた大通りを歩いて行く。
城壁には獅子の紋章が施された戦旗がたなびき、通りの酒場では傭兵らしき人影が酒を煽っている。今や大陸中央部に位置するこの街にも、戦禍を予感させるに足る熱気が漂っていた。
城塞都市ラニエスタ、そう呼ばれるこの街は大陸を縦断する街道に面し、かつ大河にも程近い要所として知られている。
それだけに、強固な城塞と精強な衛兵によって堅牢な防備が施された要塞としての側面と、流通の中枢としての交易都市の側面を併せ持つ大都市でもあった。
しかし、神代より400年もの間栄華を誇ったこの場所にも亡びの足音が近付いている。
にもかかわらず、この街の住人達は戦意を灯し続けている。それは蛮勇の為せる物か、それともその灯火こそが城塞都市の由縁なのだろうか?
臆病な少年にはわからない。
─────わからないが、この街の空気は心地が良いと、臆病者の少年にも、そう想える程、城塞都市の熱気は希望に満ちていた。
臆病者の少年は、ふと、空を、見上げて、訝しげな声で、言った────
「我等が王よ、貴方は、何故───────」
少年の視界に広がる青天は、酷く輝いて見えて、しかしそれは亡びの唄と重なって───
少年は恐れていた、知っているからこそ恐ろしい。
その滅びは必然で、その亡びは儚いのだ。
亡びの唄 3rd operater01 @2004612
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