詩集

街河風火

01. 延焼

燃え尽きろ、と声がする。それに返す言葉はない。


燃え尽きろ、と声がした。それに頷く気力もない。


燃え尽きろ、となお叫ぶ。言葉の意味もわからない。


きっとこの世界には、どこかで炎が燃えていて、しかし僕はそれを知らない。


燃え尽きろ、と叫ぶ声は、果たして誰のものなのか。


燃え尽きろとだけ言われても。考えるのも楽じゃない。


炎は僕を苛むのか。炎は僕を燃やすのか。お前は僕をどうしたい。


お前は一体何がしたい。


疲れ果て目を閉じた時。燃え尽きろ、と声がする。


その声に僕はこう返す。「いつかやる気が出た時ね」

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詩集 街河風火 @machikawa_f

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