砂の世界

ゆうや

砂の世界    

                           

 雲一つなく爽やかに感じる青空。その爽やかさを壊すかのように、地面を突き刺すような陽の光が降り注いでいた。雨が降ることはほとんどなく、風が吹くばかり。雪の上を歩くかのように、踏み込こんだ足は深く沈んでいく。一面に広がる薄茶色の大地。一つ一つ細かい粒で埋め尽くされた、大地の姿はさながら、砂漠のようだ。砂で覆われた大地には、木や草などの自然物の姿は見られない。その代わりのように、岩山が点々とあるだけ。凹凸の少ない砂漠から生える岩山の姿は、海の上の氷山のように点々とそびえたっている。


 小高い山のように存在する岩山。平らになっている山頂部には、砂漠と同じく草木は一本も生えていない。舞い上がった砂があるだけの黒い地面には、一人の人間とその人間の荷物の姿があった。

裾や袖口など端の部分が擦り切れて、ほころびが目立つ深緑のローブ。水泳ゴーグルのような分厚くて大きめのゴーグルが目元を覆っている。鼻や口には、無骨なマスク。フード付きローブを羽織って、頭を隠している。体のシルエット通りにフィットしている黒い服にズボン。日差しを防ぐかのように、しっかりと衣装に身を包んでいた。

 地面に座り込み、両手で広げた紙に視線を落としている。深く折り畳んだ跡が残っている古びた紙。古紙には、丸やバツの印、道を表現したように直線がいくつも記されている。砂に覆われた大地には、岩山以外何もない。不毛な大地を歩くには必需品となっていた。

座り込んでいる人物の背中には、布をかぶり、馬の姿をした機械が足を折りたたんで、しゃがんでいる。鋼鉄に覆われたその機械に背中を預けて、地図を眺めていた。

 両手で広げる地図と、目の前に広がる風景を見比べる。今いる小高い山から見える岩山。地図には、丸印が記されている場所だ。目的地を決めて、地図を折りたたむ。腰にあるポーチにしまい込み、腰を上げる。立ち上がると、背後で、しゃがみこんでいる機械の背中を軽く二回叩く。すると、機械の体から駆動音を発する。待機状態から立ち上がった機械馬の眼が赤く輝いた。

 ゆっくりと立ち上がった機械馬は、本物の馬のように、鼻から白い蒸気を漏らす。直立した機械馬の腰に置かれた鞍。鞍といっても数か所穴が開いて、中の綿が見えている古びたクッション。機械馬の腹部の側面にぶら下がる足置き。そこへ足を掛け、体を浮かせる。鞍へまたがったその人間は、自身の腰の方に手を持っていく。腰のベルトには、ポーチとホルスター。ホルスターには、黒い拳銃が収められている。その拳銃を触れ、そこにしっかりと収められていることを確認する。触れていた左手を、手綱の方に持っていく。右手で機械馬の頭を撫でてから、その手も手綱に添えた。

 機械馬に跨る人間は、小さく気合を入れ二回、手綱を弾く。それを合図に、機械馬は地面を蹴る。硬い地を蹴る機械馬は、高い音をたてながら岩山を下って行った。


   ◇    ◇   ◇


地面を擦るように足を運ぶ。目的地付近に近づきつつある機械馬は、ゆっくりとした足取りで、歩を進める。

目的地である岩山へ近づくと、跨っている人間が手綱を引く。その合図で機械馬が足を止めると、目の前にそびえたつ岩山を下から上へと眺める。

「……これは、でかいな」

 体の五倍は超える大きさのある絶壁。斜めに傾いた状態で地面から生えたそれには、いくつか四角の隙間がある。地面から生えるほかの岩山と同じようなものだ。欠けた所がなく、平らな壁。

 自然物には見えない岩山は、かつてここにあった建造物。岩山のほとんどが角ばった長方形のモノ。かつては、高層の建造物だったといわれている。その証拠に、岩山の内部のほとんどは、地下奥深くに続いている。砂に覆われた地面からは、その一角だけ飛び出している状態だった。壁の周りには砂が付着しており、遠くから茶色く見えることからそれらの建物は「岩山」と呼ばれている。

 目の前にある岩山も、もとは建築物だったようだ。外壁も崩壊した痕跡はなく、長方形で、地面から生えている。壁面にある四角の隙間。元々は窓だったのだろう。本来はめ込まれていたはずのガラスは、割れて縁だけ残っていた。

 機械馬から降り、砂が覆う地面に足をつける。ゆっくり降りたはずだが、砂の海に足首まで沈み込む。それに動じることなく、再び機械馬の背中を二回軽く叩く。機械馬が足を折り、目の赤い光はゆっくりと消え、待機状態へと移行した。機械馬の横に下げている荷物から大型の布を取り出す。そして、背の低くなった機械馬へと覆いかぶせる。

 機械馬を布で覆うと、人間は埋もれた足を砂から引き出し、ゆっくりと岩山に近づく。そして、一番近くにある四角の隙間に手をかけ、中へと飛び込んだ。


    ◆   ◇   ◇


 陽の光が届かない建物の中。窓の近くのみ、外からの光が差し込んでいる。光が届く範囲で、内部を確認する。

緩やかな登り坂なっている床。壁際には、瓦礫のように机や椅子等が積み上げられている。それ以外、目の前に広がる部屋には、数本の柱があるだけで何もない。オフィスか何かだったのだろう。瓦礫の方をよく見ると、机や椅子以外にも電子機器や、印刷機の姿もある。どれも朽ちていて、使い物にならない。さらに奥深くを探索するため、腰にあるポーチから、黒い筒状になっている電灯を取り出す。懐中電灯のスイッチを入れ、筒から延びる明かりで奥を照らす。

今立っている場所から、一直線の位置でドアが開いている場所を見つける。奥を散策するため、ドアのある方向を目指し歩き始めた。


 完全に陽の光が届かない建物の中。懐中電灯の明かりのみを頼りにしながら、散策している。全体的に斜めになっている建物内部。平面な場所はほとんどなく、建物の劣化で崩れている箇所もある。歩きにくい形状になっている中、探索する人間の足取りは慣れているかのように、軽やかだった。

 懐中電灯で照らしながら、廊下らしき場所を進んでいる。両側を壁に挟まれ、両壁にはところどころ、部屋に続くドアがある。一つ一つ中を確認しているが、ほとんど何もない。生活するための必需品が何一つ存在していなかった。

 階下に降りるための階段を見つけ、慎重に下っていく。下の階も、先ほど歩いてきたところと同じ造りになっている。下り坂になっているこの階を転ばないように、ゆっくりと歩いていた。

 一番奥の部屋、この建物に侵入した部屋の真下に位置する部屋にたどり着く。上と同じくオフィスのようで広い空間になっている。広い部屋へはいると、自分が砂の中にいることがよくわかる。窓があるはずの場所には、光は差し込まず、砂が侵入してきている。

 上の階とは違い、椅子や電子機器のみが部屋の奥、砂の上に固まっている。だが、机は床に固定されていたようで、位置は変わらずに残っていた。

「ここはまだ綺麗に残っているか」 

 上の階に比べ、机が残っていることに、探索している人間は呟く。近くにある机から、何か残っているモノ、手掛かりになるモノがないか物色を始める。机の上は固定されておらず、何もない。机の引き出しを中心に調べ始めていた。

一つ一つ中身を確かめるが、誰かが持ち去ったのかほとんどが空になっていた。残るは最奥にある一つだけの誕生日席。一人だけ大きい席に近付き、引き出しを確認する。この席も他と同じく、空になっていた。だが、一番下にある大きな引き出しのみ鍵がかかっている。誰も開けようとした痕跡はなく、鍵も他の引き出しには入っていない。その鍵を開けるため、ポーチの中から、二本の針金を取り出す。両手で持った細い針金を鍵穴に差し込み、手を動かす。しばらく、差し込んだ両手を動かしていると、鍵が開く軽やかな音が、引き出しから発した。針金をポーチに直し、施錠されていた引き出しを引いた。

引き出しの中には、ファイリングされた紙の束が入っていた。男はそのファイルを手に取り、一枚一枚目を通す。印刷された紙や手書きの紙。手書きの紙は、メモのようで殴り書きが多く、内容は全く理解ができない。だが、印刷された紙に書かれている内容は、ある程度理解できていた。

 印刷されていたモノには、円グラフや棒グラフの統計されたデータ。グラフの横には『□□市 年別の農作物収穫量』と書かれている。同じような資料がほとんどで、末尾には『□□市農作物管理センター』と施設の名が書かれていた。

 どうやら、ここは農作物を管理する施設だったようだ。どこかに、食料が保存されているかもしれないと、かすかな希望を抱き、引き出しを隅々まで物色する。引き出しの奥から、水色のタグが付いた鍵を見つけ出す。

 ファイルはポーチには入らないため、もとの場所に戻す。引き出しから得たモノは、タグのついた鍵だけ。そのタグには、かすれた文字で『7-01』と『倉庫』の文字。部屋の番号と部屋の名前が書かれていた。今いる部屋の番号がわからず、ヒントはないか壁を照らす。

 開かれたドアの裏側に、今いる部屋からの避難経路が書かれた地図が貼られている。画鋲で固定された地図に目を通す。そこには、各部屋の番号が書かれている。このオフィスは『8-01』と書かれていた。前の数字は階をさすものだろう。この階にある部屋すべてに同じ番号が振られている。この地図から、鍵に書かれていた番号が下の階であることは容易に推測できた。

「なにかあるといいな」

わずかな希望を抱き、期待の声を漏らす。そして、壁にかかっていた地図を頭に叩き込み、鍵を握りしめる。上り坂になっている道を、懐中電灯で照らしながら引き返す。歩く速度も先ほどと比べ、速くなっていた。


鍵に記された倉庫は、推測通り、先程物色した部屋の真下にあるようだが、フロアの構造が異なっていた。廊下の位置は同じだが、長さは短く、両側にある部屋の数も上の階と比べ半数ほどだった。廊下の突き当りには、鍵に書かれた番号の部屋。だが、ドアは開いている。開かれているといっても、部屋のドアは誰かに無理やり開けられたようで、破壊されている。無残に破壊されたドアを見て、舌打ちをする。コートの内側にあるポケットから、先ほど入手した倉庫の鍵を取り出し、傍に捨てた。

ドアの様子から、室内に他の人間がいるかもしれないと思案する。もし、中にいる人間とはちあった時のことを考え、腰のホルスターからハンドガンを抜く。銃の安全装置を外し、右手でまっすぐに構える。右手の手首に、左手の手首を交差させ、銃口と懐中電灯を同じ向きにする。指はトリガーにかけず、ゆっくりと倉庫の中に入っていった。


 倉庫の中には、慎重に移動する人間の背丈以上の高さがある棚が並んでいる。部屋の真ん中には通路があり、入り口と平行に棚が六つほど置かれている。どれも固定されているようで、おそらく当時の形を保っている。棚の間にある通路を、一つ一つ確認し、中に人がいないか確認する。隅々まで、探索するが中には人の姿はない。誰もいないことを確認すると、立ち止まり耳を澄ませる。聞こえるのは、砂の流れる音だけ。あたりに誰もいないことを確認すると、銃を腰のホルスターに収めた。

警戒しているときは、あまり注視していなかったが、棚には肥料や工具、医療セットといったモノが収納されていた。だが、肝心の食料はどこにも見当たらない。「非常食」と書かれたプレートのところには何もない。誰かが持ち出したようだ。倉庫に置かれていたリュックサックに、使えそうなものを詰める。動きを阻害しない程度の重さに調節しながら、詰めたカバンを背負う。棚を見返すが、運び込めない量の荷物が残っていた。

貴重な医療器具も残っていることもあり、また取りに来ることを頭の片隅に入れる。外に待機させている機械馬の予備の布を使い、必要なものを一か所にまとめ布で覆う。倉庫の暗さと、黒い布で覆ったこともあり、一目じゃわからなくなった。隠ぺい処理を施すと、荷物を背負い直して倉庫を出た。


岩山の外へ出るため、階段のある方まで歩いていく。階段の元までたどり着くと、階段のすぐそばに、閉じられた部屋があった。行きは、倉庫のことで頭がいっぱいになり、気が付かなかった。ほかの部屋はすべて、ドアが開いているのに対し、目の前にある部屋だけ閉じられたまま。警戒のため、ホルスターからハンドガンを抜く。懐中電灯を持っている手で、静かにドアノブを回す。倉庫の時と同じように構え、すぐに足でドアを蹴り、開けた。

 まず右、左と銃を構え、最後に中央に銃を向ける。見回した限りで誰もいないことを確認して、部屋の中を見回す。ロッカーや机が、重力によって片側に移動している。ここまでは、他の部屋と変わりはない。だが、無造作に置かれたとしては不思議と一か所に固まって置かれていた。まるで、侵入者から身を守るようにバリケードのような形が作られている。そちらの方に、明かりを向けるが奥は見えない。ゆっくりと回り込み、銃口を向ける。そこには壁に背を預けて、座り込む一人の男性の姿。明かりをその男に向けるが、男は手をかざすことも、顔を動かすこともない。何より力の抜けた右手の横に、落ちているナイフをつかもうとしない。銃口を下げることなく、男に近づく。明かりを持った手で男の肩を揺する。すると、男の体は、静かに倒れていった。

 どうやら、とうの昔に力尽きていたのだろう。腐食は進まず、マスクも何もしていない。死んでいることを確認し、銃を腰のホルスターに戻す。乾燥し、ミイラと化している骸の様子を観察するため、しゃがみこんだ。肌の乾燥具合から、息絶えて半年といったところだろう。外傷は見られなく、ミイラ化していることから、死因は砂の吸い込みすぎだろう。大地を覆っている砂粒は、液体を吸収するため体の中に入ると、急激な脱水に陥り最後は死に至る。骸と化した彼についている衣服や名札を確認すると、どうやらこの施設の人間だったようだ。骸の横には、腰に下げているモノと似た銃が転がっている。その他にも、空っぽになった缶詰や乾パンの袋が落ちている。食料がなかったのは、すべてこの男が盗ったからだろう。食料のほかには、暖を取っていたのか燃えた紙きれが、焚火の後のように燃えカスとなっていた。骸がもたれていた壁の近くに机として使っていたのか、ガラクタの台が配置されている。その上には、文字の書かれた紙が飛ばないようにペンの下に置かれていた。ペンを横に寄せ、紙を拾い上げ、目を通す。そこには、ここに取り残された者の苦悩が書かれていた。

『私が、ここに残され幾日か経った。助けも来ないし、同僚も、外へ行ってしまった。残された私一人では、この砂漠から抜けだしても生きていけないだろう。食べ物も底をつき、もうどうしたらいいか――』

 文字はそこで途絶えている。書いている途中で、砂にやられたのだろうか。男は、一人でこの暗闇を生きていたようだ。そのことに敬意を払い、紙を丁寧に折りたたんで、机に置く。そして、骸を横たえる。落ちていた布切れを男の顔にかけ、手を合わせる。そして、ゆっくりと立ち上がり廊下へと出る。彼の根塗りを邪魔することないように、ドアをしっかりと締めた。


   ◆   ◆   ◇


 岩山から出てきた人間は、ゆっくりとしっかりと地を踏む。傍に停めていた機械馬へ被せていた布を取る。布を折りたたみ、ポーチにしまう。顕わになった機械馬に「ただいま」と声をかけ、背中を二回ほど叩く。その声に応えるかのように、機械馬は、鼻の部位から白い息を吐く。背中に荷物を背負って出てきた人間は、足場に足を掛けて機械馬に跨る。手綱を握り、優しく弾く。機械馬はゆっくりとした足取りで、先ほど出てきた岩山に近づく。壁に手が届く距離まで来ると、再び手綱を軽い力で弾き、機械馬は歩みを止めた。背に乗る人間は、腰のポーチから折りたたみナイフを取り出す。先ほど中へ入った窓枠のある壁に、拡げたナイフで大きく三角印を刻みこむ。探索したが残しているモノがあるとこの目印。三角以外にも、探索を終えたことを示すバツ印なんかもある。この二つの刻印は、もちろんこの人間しか知らない。他の人間が知っていたら、中で行った隠ぺい工作が意味のないものへと変わる。

砂が付着し消えないように、深く刻む。用件を済ませるとナイフを折りたたみ、ポーチへと仕舞った。

 背に乗る人間が地図を手にし、何かを探すように地図を食い入るように見ていた。すると、遠くで地鳴りのような音が響き始める。その音に気付いた人間は、急いだ様子で雑に地図を折りたたむ。腰のポーチへと押し込み、音の方を探る。あたりに顔を向けるが、音の正体がわからない。身近にある岩山に目を向け、手綱を二回激しく弾く。機械馬はしっかりと足で砂の海をとらえ、沈むことなく駆けていく。

目を付けた岩山の頂上付近に差し掛かると、手綱を引き機械馬を停める。岩山の上に立つ機械馬は、滑ることなく踏みとどまっている。山頂付近から当たりを見渡すと、地鳴りの正体を目にとらえることができた。深緑のコートを着た人間が見つめる先には、きれいな三角形の山がゆっくりと動いていた。まるで、砕氷船のように岩山を砕きながら砂の海を進んでいる。恐ろしく巨大な山へ向かって、機械馬の背に乗る人間は手綱を二回弾いた。


◆   ◆   ◆


 砕氷船の如く移動する山の正体は、移動式の国だ。現在、この星のほとんどはある時を境に砂で覆われた。これらの砂は、どこから出てきたのか、なぜここまで急速に増えたのかすべてが謎とされている。ただ、この世界が砂で覆われる前、奇妙な現象が目撃されていた。その名は「ミイラ化現象」と呼ばれている。最初は自然界の動物が、突如脱水によって死に絶え、死体が腐ることなくミイラのように変化した。それが段々と人間にまで見られるようになって、ミイラ化する数は段々と数を増していた。世界の科学者たちが、原因は砂のような粒にあると見つけた時にはすでに遅く、世界の土地はゆっくりと広まりつつあった粒の浸食に飲み込まれていった。

栄華を極めた都市。穏やかな田舎町。存在していた町や都市の全てを数年で飲み込んだ。それにより我々、人間の数は大きく減少していった。残された者は、山の様な移動式の国を作り、各地を転々としながら、生活環境に適した場所を探し移動している。

 移動式の国とあって資源は限られていた。国の中には、自給自足のため、農耕を行う場所もあるが、食料や鉱石、燃料は満足といえない状況が続いている。枯渇しないように、国のほとんどは「収集者」と呼ばれる者達を雇っていた。我々「収集者」は、埋まった町から残された資源を回収し、自分の所属する国へと納品するのが生業。移動する国にとって、外へ出て資源を回収してきてくれる我々の存在は、貴重なものとなっていた。マスクもせず大地を覆う粒を吸い込むとたちまち、脱水を起こし死に至る。そんな中、危険を顧みず資源を回収してくる我々を英雄視する町もあるという。


 今日もまた、深緑のローブを纏った「収集者」は、鋼鉄の馬に跨り、死の粒が覆う砂漠を駆け抜け、岩山へと侵入していく。それこそがこの世界で生き残っていく道なのだから。

                   

                          ― 完 ―


                                    



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