税理士と人間改造

バブみ道日丿宮組

お題:当たり前の税理士 制限時間:15分

税理士と人間改造

 税理士とは一般的には税金について相談することだが、この国では主に人間の値段について相談される。

「あなたの価値が低いと?」

「はい、学校の通知表で税金がかけられないくらいの成績しかないと」

 会議室で1人の学生が税理士に相談をしてる。

 その手元にあるのは学校から手渡された証明証。そこには見事なまでの0。資格がないという表記がされてた。

「あなたの年齢ならまだこれからだと思いますが……」

「それでもみんなの話題から離れることがないんです。いじめられそうで怖いです」

 なるほどと税理士は頷く。

 人間の価値にお金がかかるのであれば、確かに上下関係は生まれやすい。現に出世するのは税金が高い人間で、それ以外の人間はほとんど外世界で見ることはない。

 そこに幸せを感じてないものもいるが、自分の努力と才能が足りなかったと大半は諦める。それがこの国のありようなのだ、と。

「ならば、当たり前のアドバイスをしましょう」

 そういって税理士はファイルからいくつかのプリントを取り出す。

「自分改革って言葉を知ってますか?」

「はい、なんでも自分探しをするやり方の1つだとかなんとか……」

「そうです。自分の税金を上げるために一番必要なのはあなた自身が変わることが必要です。これはわたしもかつてしたことです」

 学生は頷く。

「1つ1つのハードルはそんなに高くはありません。継続は力なりという言葉通りに、少しずつ成長してくのです」

 まずは、と税理士が一呼吸。

「肉体を改造しましょう。このジムに通ってください」

「肉体が変われば、よくなるんですか?」

 当然の質問だった。

「身体は資本です。肉体が強くなれば、あなたに適正がなかったものが適正を持つ可能性も出てきます」

「でも……ジムって大変なんじゃないです?」

「そんなハードなものは熟練者からです。初心者でも簡単にできます」

 そういって、税理士は腕をまくると、自分の筋肉を見せつけてくる。

「実はわたしスポーツに適正があると言われてたりもします。ですが、こうして今は税理士をしてます。つまり実績があるというわけですね」

 次にと、税理士が一呼吸。

「見聞を広めるということもあって職業体験をしてもらいます」

「職業体験ですか? アルバイトみたいな?」

「そうですね。実際にいろいろな仕事場に入って仕事をしてもらいます。こちらはそうですね、長期休みの時がちょうどいいでしょう」

 すらすらとプリントにメモを書き込んでく税理士の様子を学生は見つめる。

「とりあえずここまでやってみましょう」

「これで変わるんですか?」

「あなた次第ということもありますが、やらないよりはやったほうがいいです。他の学生がしてないことをあなたは体験するのですから」

「わかりました」

 学生はプリントをカバンに入れる。

「ジムはわたしの名刺があれば、施設の値段はただになるのでがんばりましょう」

 税理士から名刺を受け取ると、学生は会議室を後にする。

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税理士と人間改造 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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