そこに愛はある。ただ普段は見えないだけで。

体力、気力の限界がじわりじわりと忍び寄る後期高齢者夫婦の、
ヒヤリハットする日常の一コマです。

冒頭から行方知れずになってしまった認知症(記憶障害)を患う旦那さんに、
どうなるんだろうとヒヤヒヤする前半のミステリー風味(緊張)から、
後半への緩和の展開が心温まります。

先の見えない伴侶の介護って、本当に体力気力削がれて大変な苦労だと思います。
それが、ふっと報われる一瞬にホロリとします。
とても現実味のある情景と、ささやかな幸せを感じさせる飾らない日常がとても良いです。

きっと奥様はこれでまた頑張れるんだろうな、
死ぬまでずっと連れ添うんだろうなって思わせる読後が、とにかく温かいです。