あとがき

『ストリップ劇場』を読んでいただいたみなさん、お疲れさまでした。このあとがきから目を通していただいているみなさん、第一話から読んだ方がいいですよ(笑)いずれにしろ劇場などという、下衆で昭和なタイトルの小説をいたたまれない気持ちを抱えながら読んでいただけたことにまず感謝したいと思います、ありがとうございました。


 タイトルについては「踏み絵」のような気持ちで付けている部分があります。あまり読む気をそそられないタイトルであることは十分わかっているので、これを読んでくれる人はわたし藤光の小説を読んでやろうという侠気(狂気か?)をもった人だろう――と。


 しょっぱなから「セックス」という言葉をぶちこんでいったのも、登場人物たちに「障害」を負わせているのも、「踏み絵」というか、わたしのもやもやとした狂気のようなもののしわざです。この(2021年)三月から小説を量産してきましたが、この間、なるべく一般の読者の人にも読みやすいよう、うまくまとめよう、きれいにまとめようと、小さく小さく小説を書いてきたストレスが爆発したのがこの『ストリップ劇場』という小説です。このタイトルは、正味のところという意味ですからね(笑)


 書きなぐった小説なので、テーマらしいテーマはないのですが、しいて言うなら「効率化を追求することへの疑問」ですかね。わたし自身、仕事をしていると作中の逸洲界や瑞樹希空、狭間のような、なんらかのハンデを抱えて要領の悪い人たちへ厳しい視線を送っているじぶんを感じます。やなヤツというわけです。


 小説のなかでは極端に描きましたが、現実の世界も過酷な「効率化社会」です。コロナワクチンがもっとも必要な高齢者に対して、彼らには操作不能なオンライン予約を強いるような世界であることがそれを証明しています。要領の悪い人にはとても生きにくい時代がやってきたのです。年を経るにしたがってそれは加速していくでしょうし、それによって被害を被るのはなのです。


 この困難に際してわたしたちがなし得ることはなにか、小説に書くことはできませんでした。もっと書ける力がついたら挑戦してみたいと思います。繰り返しになりますが、読んでいただきありがとうございました。では、また別の小説で。

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ストリップ劇場 藤光 @gigan_280614

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