本当に怖かったです。怖すぎました。
ネタバレなしで魅力をお伝えします。
主人公はとある屋敷でとある介護の仕事をすることになるのですが、怪しさ満載です。
ネットも使えない山の中。外部から遮断された住み込みの仕事。それに患者が明らかに普通ではない。まるで死体のよう。それなのにやたら溌剌として明るい先輩職員①と、やたら主人公にキツく接してくる先輩職員②。質問をしても核心の部分は教えてくれず、「指示通りやればいい」と言われる。謎は深まるばかり。怪しさしかないですよね。危険な匂いしかしません。
この、人間の本能で感じ取れる「なんか嫌だな」「なんか起きそうだな」をそのまま表したような作品です。
てっきりリングや呪怨のようなホラーかと思いきや…意外な事実が明らかになります。
スティーブンキングみたいとおっしゃる方もいましたが、まさにそんな予想の上をいくようなホラーです。そう来たか!と言いたくなります。
とにかく単純なホラーではありません。グロテスクの中にも考えさせられるものがあります。人間だからこそ作品内の事実に抵抗感があるのですが、自然の摂理で考えると完全に否定しきれない部分があったりするのです。
そして作品が終わっても続く恐怖があります。悪の教典のようなゾッとするラストと言えばいいのでしょうか…。(ネタバレしたくないのでもう言いません)
夏の季節にピッタリなので、夏の熱が冷めないうちにぜひ読んでみてください!
※深夜に読むのは危険です。暗い廊下を一人で歩くのが怖くなるかもしれません。自己責任でお願いします。
襲い来る!
少なからず人は職場において自らを作る。いわゆる、よそ行きの顔である。それは一方で同僚への気づかいであり、他方で自らを守るためである。
本作での主人公の仕事はまるで怪異と謎にお仕えする如くであった。
作者がその巧みな筆致で描き出すところの職場の人間関係はリアルであり、ゆえにこそ、その中で主人公が出会う怪異と謎の印象も、また、いや増す。一見、作者が見事に作り上げたこのコントラスト(対比)の中で、物語は進み行くと想われるが。
ただ、最終局面へ向けて物語が加速するにつれ、全てが絡まりあい、その真の姿を現わす。それがいかなるものかは、貴方自身の目で確かめて欲しい。
私が読むのは1日1作品につき5話まで。
そして、多くの作品を乱読することにしているのですが、本作品は油断するとどんどん読み進めてしまっていました。
12月も半ばですが、多分、本年度私的カクヨム大賞作品です。
物語の当初から散りばめられている伏線の回収が見事!
設定の意味にすべて理由があって、構成が素晴らしいと思いました。
えー……まさかそんな細かい設定まで、ここに繋がるんだと。
どんでん返しもしっかりしていて、読んでてよかった……というか、読まなきゃ損な作品だと思ってます。
次作にも取り掛かられているようなので、楽しみに待ちたいと思います。
本当におすすめです!