彼の使いみち

バブみ道日丿宮組

お題:俺はクレジットカード 制限時間:15分

彼の使いみち

「部長、今日はどこ行く予定ですか?」

「そうね、少し遠出しようかしら。部費もせっかく入ったことですしね」

「なるほど。でも、台風が近づいてるみたいですよ」

「まだそこまで近づいてないわ。それまでは遊んでいられる」

「台風を甘くみたら危ないと思います」

「あら、私が怪我をするかと心配してるの?」

「そうですね。部長が怪我をするとご両親に怒られますので」

「そう。でも、やめないわ。あなたが怒られるのなんていつものことですし」

「はい、知ってます」

「今日は部費以外にも使えるものがあるわ」

「なんです? そんないいものがあるなんて僕知りませんが」

「これよ!」

「これは……カードですか?」

「そうクレジットカードよ。しかも支払いが他人にいくというね」

「酷くないですか? 部長が買ったなら部長が払うべきなんじゃ?」

「しかたないでしょ。そういうカードなのだから」

「しかたないんですかね……まぁ僕が支払わなければいいですよ」

「あなたの現金は当てにしてないわ。どうせお母様からお金をもらってるのだろうけど」

「はい、なにかあった時としてもらってますよ」

「そう、そう。でも、今日は使わなくて住むわ! 安心なさい!!」

「安心できるんですかね? いつもみたいに羽目を外しすぎて取り返しのつかないことにならなきゃいいですけど……」

「いつもどおりなら大丈夫でしょう。私以外が責任を取るだけなのですから」

「それは取り返しのつかないことっていうと思うんですが……」

「いいじゃない。私は私のために、みんなは私のために! 実にいい時代だわ!」

「お嬢様モードは時として嫌われますよ」

「文句を言う人はいないわ」

「僕が言ってますけどね」

「あなたならいいわ。私はあなたのために迷惑ごとを作るぐらいしてあげる」

「すっごい迷惑です……」

「ほら、外に車を待たせてるから行くわよ」

「本当に行くんですか、雨降りますよ?」

「そのためのホテルだわ」

「ホテルですか? 遊べるところじゃないと思うのですが」

「ホテルで色々できるでしょ、主にあなたが色々するのよ」

「それは得してるのかしてないのか僕的には難しいところですね」

「嫌なの?」

「嫌ではないですが……まぁ行きましょうか」

「えぇ、最近ホテル内にカジノができたのよ」

「えっ? そういう意味だったんですね」

「何だと思ったのかしら? いいわ、気にしないであげる」

「そう思っていただけるのでしたら幸いですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

彼の使いみち バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る