異世界のある世界という1つ
バブみ道日丿宮組
お題:イギリス式の霧 制限時間:15分
異世界のある世界という1つ
異世界転生という言葉を聞くと、嫌気がさす人もいるだろう。
僕の世界といえば、世界が5つもあって転生することもなく異世界がある。
イギリス、ロシア、オーストラリア、マレーシア、日本。
異世界はそのような名前をつけられてる。
災いは毎日のように起こってる。国が国で揉めるなら、世界が世界で揉める。仲良く出来てるところはできてる。
僕の家に居候してる少女もそうだ。
彼女の場合、僕を勇者かなにかと勘違いしてるから困ったものだけど……。
「霧が濃くなったよ」
「そうか、なら外出は今日はしないようにしよう」
僕が彼女に答えると、ぷくぅと頬を膨らませた。
「今日は一緒に買い物いくって言った!」
「霧がでたらしかたないだろう。魔物が出るんだぞ」
そう……このイギリスという世界では霧が出ると、魔物が現れる。
「そんなの倒しちゃえばいいでしょ」
無茶をいう。
僕はただの人間でなんの力もない。
物語の主人公たちのように力があってどうにかできるのであればそうしたい。
でも……僕は僕で……勇者なんかじゃない。
「私に認められた人は必ず勝てるの」
「そういう問題じゃないと思うんだけどね」
知らないと捨て台詞をこぼすと、彼女は自分の部屋へと戻ってった。
あとでご機嫌取りしないと空気が重くなるだろうなぁ。
「はぁ……」
窓から見える風景は真っ白ーー先が見えない。力ある人間ならば、この中にいる魔物が見えるらしいがそんな能力必要なのだろうか?
外に出なければ魔物は襲ってこない無害な存在だ。
こっちから打って出る必要性は皆無だ。
もっとも引き込もれる時間も限られてる。家にある物資が尽きれば、外にでなければいけなくなる。そんなときのために家にはたくさんの武器がある。
うちにも彼女が持ってきた聖剣という異名がある剣が置いてある。
僕としては信じてないから、ただの鉄の棒にしか見えてない。ましてや自分がこの剣を持って戦うビジョンは見えてこない。どうやっても魔物に負けてボコボコの血だらけになるビジョンしか見えない。
ここが日本であれば、霧なんてなかったのだろうな。
でも……刀という特殊な武器がない人間は異端のように見られるらしいし……結局は自分の世界が一番いいのかもしれないっていうね。
「ほんと……どうしようもない」
異世界のある世界という1つ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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