夜、1つ、2つ
バブみ道日丿宮組
お題:夜と正義 制限時間:15分
夜、1つ、2つ
「誰かが言った。己の力を引き出せるものを作っておくべきだと。そうしてその力をめいいっぱい限界値を超えるまで極めるべしと。全ては心のままにあれと」
「またその話? 私興味ないんだよね」
少年の長い独り言に少女はやれやれと肩をすくめる。
「これは大事なことなんだ。ほら、ヒーローが必ず必殺技を叫んで攻撃するような、そんなかっこよさに溢れた行為のことだよ」
「……敵に聞かれる可能性があるから、なるべく早めに終えてよね」
少年と少女は、夜の街を徘徊してる。
それは国によって作られた警備職のためである。
警備職というのは、普通の警官とは違い、異端と言われるような特殊能力持ちのことを指す言葉である。少年は、魔眼。少女は肉体強化。お互いがお互いを支援するために仲間構成は作られてる。
無論、相性というのは存在してる。そこらへんは一夜を共にしたこともあって、今のところあまり不都合は起こってない。
ただ少年が祝詞のような言葉を業務中必ず口にするのだけは少女は嫌気がさしてる。
「慣れだっていったじゃないか。なら、慣れようよ」
「隣で意味不明なこと言われちゃ精神にくるわよ」
ぽんと少年の肩をたたく。
「僕の魔眼は言葉を作ったほうが伸びがいいんだ」
「逢引のときにも言ってたわよね? 確かそっちのほうが興奮するとかなんとか」
少女はうんうんと頭を上下に振るう。
「言葉は大事さ……ん。目標地点に犯人が到着したみたいね」
赤い光が少年の瞳からもれる。
「……」
少女はその瞳をじっと見つめた。とてもきれいで、素敵な瞳だと思ってる。もし警備職に入らなければ少年はきっと留置場送りになってたんだと思うと、少女は少し嫌な気分になった。
「大丈夫?」
しばらく黙ってたせいか、少年は少女を見つめてたことに気づかなかった。
「大丈夫。あとは任せて」
「音声通信に切り替える。なにかあれば、すぐに知らせるから」
うんと少女は頷くと、夜の街をかけ始めた。
夜、1つ、2つ バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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