第5回 海東青―摂政王ドルゴン 井上 祐美子 (著)

ドルゴン・・・

間違いなく知らない人の方が多い人物ですよね。


愛新覚羅多爾袞(アイシンギョロドルゴン)

爵位名では摂政睿親王と呼ばれます。


中国最後の王朝『清』の初代皇帝『ヌルハチ』の14子で

2代皇帝ホンタイジの元で頭角を現し

3代皇帝フリン(順治帝)が6歳で即位するとその摂政となり権力を振います。


そして死後、この順治帝から爵位を剥奪される・・・

そんな人です。


さて、この小説では、ヌルハチは自分の後継者にドルゴンを選びたかった・・・

といった感じに書いてありますが、実際どうなんだろね?


ヌルハチの頃はまだ、清ではなく『金』て国号を使ってたワケですから

『皇帝』ってよりは女真族の『族長』って感じが強かったと思うんですよ。


遊牧民族の族長ってのは、一族の話し合いで選出される事が多いので

ヌルハチも、次の皇帝はそんな感じで決めればいい

と思ってたんじゃないかなぁって考えてます。


そして『清』という国号ですが

ホトンドの人がヌルハチがつけたと思ってるんでしょうが

実は、2代皇帝のホンタイジがつけたんですよね~


という事は・・・

ホントの清の初代皇帝は、実はこのホンタイジって事なのかな?


あっ、忘れてましたが『女真』という名を

『満州』に変更したのはこのホンタイジですよ!


で、このホンタイジ

猪突猛進型の多い女真族の中では珍しく、謀略家もしくは政治家タイプの人物です。


ドルゴンもホンタイジと同じタイプだった様で

唯一、謀略の話が出来る兄弟として、ものすごく重宝された様です。


その証拠に、他の兄弟に対しては粛正を断行していたホンタイジですが

ドルゴンは重用されどんどん出世していきます。


満州をしっかり掌握し、朝鮮も服属させたホンタイジは

明を滅ぼそうと長城を目指しますが、山海関にて急死します。


後継者問題で、多少もめまして、結局は6歳の順治帝が即位し

ドルゴンがその摂政となりまして、明征伐を再開しようとします・・・が

その前に、明は滅びてしまうんですね。


明を滅ぼした人物は『李自成』反乱軍の親分です。

この李自成、北京を落としたまではいいんですが

その後が全く奮わずあっと言う間に清軍にやられちゃいます。

(李自成の小説も持ってるので後に解説します)


長城を超え、北京を手に入れたドルゴンは

中華王朝にふさわしい制度を整えつつ

あっという間に>中華の大半を統一します。


この清王朝に対抗し続けたのは

『鄭成功』ぐらいですかね・・・

鄭成功の話は、また今度しますね!


ドルゴンは、この鄭成功を倒す前に死去します。

ドルゴンと鄭成功の戦いは見てみたかったなぁ・・・非常に残念。


死後は先ほど記述した通り爵位を剥奪されるのですが

その理由として、それまでドルゴンに好き放題されていたのが

我慢できなかったというのと

順治帝の母親を妃にしていたからという話があります。


遊牧民族ってのは兄が死ぬと、弟は兄の嫁さんを

自分の妃にするんですよね。

理由としちゃ簡単で、厳しい遊牧生活では

旦那(保護者)が死んでしまうと

非力な女性は野たれ死ぬ確立が非常に高いわけです。


ですので、弟あたりが保護してやるのが一番の保護解決策になるんですが

儒教では、これはまぁやっちゃダメな事なんですよ。

順治帝ってのは、帝位についてから、ずっと中華の帝王学を学んでるワケですよ

ドルゴンの命令で


んでもって、中華の学問は、儒教がベースのワケですから

順治帝からしたらドルゴンの行為は

鬼畜にも劣る行為に見えたんでしょうねぇ・・・


そんなドルゴンですが

俺としちゃ、実質清の3代皇帝と思ってんすよね。

皆さんはどう思います?

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