創作考〜着想2
人物から着想を得る。
そう書きながら、自身を振り返ってみると、むしろそうでない場合の方が多いかもしれない。
前回、天啓について書いたが、この天啓を題材に、脳だけで生きている博士のショートショートを捻り出して入選したことがある。このときは、科学の進歩によって培養液の中で生きる脳の話を書いたら面白だろう、という発想から捻り出した。
科学が進歩して脳だけで生きることができるようになったらどういうことが起きるのか、というSFの発想である。そこから、だったら、登場人物は、こんな人間になるだろう、と考えた。
童話で賞を頂戴した作品は、当時住んでいた近所の商店街にあった、たこ焼き屋とパン屋から、対立、和解というパターンに当てはめて創作した。
こちらも、後から人物を造型した。
これらから、二つの着想パターンが考えられる。
もしこうならどうなるだろう、という発想法は、SFに限らない。史実を踏まえる時代小説でもよく見られる。
もう一つは、普段、別々に目にしていたものを融合させる手法である。
逆に、人物はそこから造型されていく。いや、厳密に言うなら、人物像も同時進行的に創られていく、と考えるべきだろう。
長く書き続けるなら、数多くの作品を産み出そうとするなら、着想のパターンをいくつか知っておいて損はないだろう。
ただ、長編小説でも短篇でも、人物像がいい加減だと読者は途中から読まなくなる。
人物以外の着想の降りて来ることを願うだけでは小説は書けない。
もちろん、自戒の言葉である。
独りよがりの創作考 二河白道 @2rwr
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