美術館デート
バブみ道日丿宮組
お題:セクシーな美術館 制限時間:15分
美術館デート
待ち合わせ場所にたどり着くと、
「あれ? はやかったね」
彼女は既にいた。
待ち合わせ時間の30分も前にきたというのに……ちょっと残念。
「はやく会いたかったってのもあるし、待つのが好きだったのもあるんだよね」
そう心の声を解き放つ。彼女に待たせたという罪悪感に多少なりとも襲われて、
「じゃぁ行こうか」
彼女が差し出した左手を手に取り、目的地へと歩き始めた頃には気持ちがリフレッシュしてた。
駅から10分歩いて到着するそこは、美術館。
この街の象徴たる施設の1つだ。
「今の人がおすすめしてる絵画も飾ってるみたいなんだよね」
調べてきた情報を口にする。
中には際どいエロさや、グロテスクなものもあって人によってはトラウマになったりするらしい。そんな怪しげな展示を見たいといったのは彼女だ。
美術部に属してる彼女からすると、不可思議なことはいい刺激になるということだ。僕としては別に断る理由もないから問題はない。
ただエロいのだと、どういった感情で見ればいいのかわからない。
もちろん、ただの芸術作品なわけでそういう邪な考えを持つのはいけないことだろう。
これは彼女とのデートであり、思春期の暴走ではないのだ。
「私が見たいのは頭が10個もある怪人だなぁ」
「とても気持ち悪そうに思えるね?」
よくホラーゲームだと2,3個頭がある怪物が出てきたりする。
つまりはそういうことなのだ。
「たくさんあるパーツを1つにまとめて描くっていうのは結構思考しないと作れないよ。ましてやそういうおかしなものを散々描いてきたというーー」
と、彼女が説明しだしたので、軽ーく頭に入れないように気をつけた。
好きなことを語る彼女の表情はとても好きだけど、芸術がわからない人からすると何を言ってるのかわからなくて参ってしまう。
「ーーという感じだけど、わからないよね?」
「うん、ごめんね?」
いいよいいよと、彼女は手を強く握った。
「君にはエロいやつの感想をもらおうかな? それならできるよね?」
「えっ? えぇ……」
彼女の前で裸体を見ろって?
「本気?」
「うん、本気だよ。別に浮気したとか思わないし、スケベだなんて思わないよ。あくまでも直感的な意見が欲しいの」
なるほどね。意見か……。
「うまく言えなくてもいい?」
「大丈夫」
笑った彼女はどこか楽しげな表情を浮かべてた。
美術館デート バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます