007 後処理

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!


 急に、はげしい|地響じひび《じひび》きが鳴った。

 俺はあわててあたりを見渡す。

 すると俺の視線のおくに魔物の軍勢ぐんぜい

 100体を超えるであろう数の魔物が、せまって来ていた。


(や、やばい。魔物達が、こっちに向かってきてる!)


 あせった俺は、さっきまで怖がってたウィンを見た。

 怖いことがあった後に、また怖いことが起こってしまいウィンが心配になったのだ。

 だが、ウィンは思った以上に落ち着いていた。


(え!? なんでウィンは落ち着いてるの!?)


 どう考えても、この大群を見て落ち着いてるウィンはおかしい。

 そう思ったのだ。


(ウィンはSランク冒険者だし、こういうことにれているのかな??

 それとも、魔物が向かってきている事くらい初めから分かってたのかな??)


 俺は、気になったのでウィンに聞いてみた。


「ウィン。

 もしかして、魔物がこっちに来てるの知ってた?」


「僕は、さっき立った時に気付いたんだぁ! それで、レオッチに、あの魔物達での実践訓練じっせんくんれんしてもらおうかと思って!」


「えええええー!?!?

 なんでそうなったの……てか、どこからき出たの、あの魔物達!」


 混乱こんらんする俺に、ウィンはすぐに教えてくれた。


「たぶんねぇ、さっきの魔法では、生き物を吸い込めなかったんだよぉ」


「じゃ、じゃあ、あれは俺の魔法に吸い込まれずに、この更地さらちに放り出されちゃった魔物ってこと!?」


「そういうことぉ!

 きっと、命までを吸い取るイメージまでしてなかったんじゃないかなぁー?

 ほらぁ、僕も結局吸い込まれなかったしぃ?」


「なるほどね……。

 そう言われてみると、俺は命までは吸い込むイメージをしてなかった!

 なんでも吸い込めたら強いとか、思ってた程度だったし……」


 そう言うと、ウィンはニコッと笑ってウンウンと頷いた。


(まあ、とりあえず。

 命までうばうとなると、ちゃんとイメージしないとダメってことだね!)


 そんな感じに、俺は納得したのだった。


 そうして俺は、ウィンに言われたので実践訓練じっせんくんれんとして魔物をたおすこととなった。

 俺は、この魔物たちを殺さないといけないのだ。

 その時、俺はひらめいた。


(あれ?? 今回は、命を吸い取るイメージをすればいいじゃない??)


 そう思って、イメージしだした時だった。


「レオッチぃ。ちゃんと加減かげん考えてねぇ?」


ギクッ!!!!


 俺の考えを読んだかのように、ウィンが注意してきた。

 そんなするどいウィンの注意に戸惑とまどいながら、俺はウィンに聞き返した。


「か、加減かげん?」


 そう言うと、ウィンは答えてくれた。


「魔法はさぁ、イメージだけでなんでもできるけどねぇ?

 魔力量とかその魔法をあつかう技術がないと、危険なんだよぉ?

 例えばぁ、命を落としたり、暴走ぼうそうしたりするんだぁ」


(そういえば、俺の混沌黒球ブラックホール暴走ぼうそうしたよな。

 あれ、危なかったのか……)


 俺は、魔法という強大な力を少し怖いと思った。

 そんな俺を見たウィンが、話を続けた。

 

「人はみんなそれぞれ決まった魔力量を持ってるんだけどぉ。

 その魔力がきたら術者じゅつしゃは死んじゃうよぉ。

 今のレオッチは、どのくらいの魔力が残っているかわからないからぁ。

 強すぎる魔法は危険すぎるよぉ?」


 ウィンは、俺を心配しているようで丁寧ていねいに教えてくれた。

 その教えを、俺はうなずきながら黙って聞いた。

 この話は、今後魔法を使っていくうえで重要だと思ったのだ。


 そうして、ウィンは話を終えた。

 と、同時ぐらいに再び地響じひびきが聞こえてきた。


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!!


 集中していたせいで、地響じひびきが迫っていることに俺は気付けなかったのだ。


(や、やばい。早く魔法を、考えなきゃ!)


 俺は、ウィンからのアドバイスをもとに魔法を考えた。


(山をけずったし、そのせいで膨張ぼうちょうした魔法をみ込んだ。

 実感は無いけど……きっと、相当魔力を消費しょうひしたよな)


 とにかく俺は、魔力の消費が少なくて、強い魔法を使わないと思ったのだ。

 

 そして悩みに悩んだ結果、ついに俺はひらめいた。

 力を使わないのなら、つくり出すのではなく、元からあるものを利用すればいい。

 今は、しずみ、随分ずいぶんと暗くなった。

 なら、暗闇を利用したらどうだろうか。


 早速、俺は右手を前に出し、かげのような暗闇くらやみで寒さに震え凍るをイメージした。

 そうして俺は、魔法『陰凍おんとう』を放った。


 次の瞬間、俺のはなった『陰凍おんとう』は、音を立てず、静かに広がっていく。

 そして、あたり一面が北極のように、凍っていったのだった――


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~作者からの御礼~


ブクマをしてくれた11人の方。

本当にありがとうございます。


また、見てくれた皆様にも本当に感謝しています。


今後も頑張っていくので、是非是非【感想、ブクマ、評価】

是非よろしくお願いします!!


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パーティーを追放された俺は、俺だけが使える最強の闇魔法に目覚めて、Sランク冒険者になったのだが。魔物討伐より俺の仲間の方が問題だった〜コイツらを止められるのは俺しかいない〜 @senkounahabi

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