第2話 現在の日常
金属同士を叩く音が部屋全体に響き渡る。
7時にセットした目覚まし時計が機能したのだ。
ベットから起き上がった16才の少年、彼の名前は松山雄介。今日から2年生になる、ごく普通の高校生だ。
寝巻きからハンガーラックにかけてあるせいふくに着替えて鏡の前に立ち身だしなみを整える。
それが終わると部屋を出て、階段を降りリビングへと向かう。
「おはよう雄介、朝御飯出来てるわよ」
リビングで出迎えたのは、松山加奈。血の繋がりはないが、一緒の家で暮らす兄妹のような存在だ。
「分かった」
テーブルの上には白米と味噌汁に、お付きで卵焼きに沢庵、納豆が五人分並んでいる。
雄介はテレビに一番近い席に腰を掛けて、リモコンでスイッチを入れた。
「坂山町で起こった原因不明の大災害、150人が行方不明となり、3000人以上が帰らぬ人となった事故から10年が経ちました。ですが、災害の傷跡はまだ癒える事なく今でも倒壊した建物が所々残っている状態です」
テレビキャスターの女性の言葉を聞いた加奈が、洗い物をしながらも口を開いてきた。
「あれからもう10年経ったのね」
「でも倒壊した学校や加奈の家はいまでもそのまんまなんだな」
「それがいまでも原因不明って異常な事よね」
二人も後で知ったことだがこの大災害、実は自然現象で起こった事故じゃないのだ。
それは様々な科学研究家によって念入りに調べられた結果、町に来た全員が同じことを言っている。
つまり何者かが意図的にこの災害を起こしたことになるのだ。
だけど、そういった道具を使われた形跡はないし、人力でそれが出来るとは考えられない。
まるで宇宙人のような未確認生命体が人知れずその場に現れて、2人の故郷である坂山町を荒らして帰った。そうとしか考えられない様子だったらしい。
「そういえば、俺達の両親の遺骨はまだ発見されていないだろ」
「そうよね、学校内で無くなったはずなのに発見された遺骨の中のでDNAがママ達と一致する物がなかったらしいし」
骨が燃え尽きたとは考えられない、まるで神隠しにでもあったかのように2人の親のいた痕跡は消えてしまった。
もしかしたら生きている、そんなことを考えてしまうが、事故から10年間音沙汰不明、まだ小さい子供を置いて消えるなんて考えられない。
親のいなくなった雄介と加奈は孤児院の話が出たが、加奈の叔母、母方の妹である松山家の養子として引き取られたのだ。
今その家庭で父親は2年前に無くなったが中二と小五の女の子がいて、家族5人で暮らしている。
「あら、雄介起きてたの」
「母さんおはよう」
雄介達の目の前に現れたのは育ての母親、今年で43才になる明菜だ。
「雄介、悪いけどまだ寝てるであろうバカ娘2人を起こしてきてくれる」
「まだ寝てるのかあいつら。分かった起こしてくるよ」
雄介は明菜に言われた通り妹二人を起こしに再び2階へと上がった。
異能少年たちの裏世界戦闘記録 カマリナ @kamarina
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