これからも、ずっと。

「ねぇ、漣。」

「ん?」

「今度・・・・フットサル、やってみない?」

手を繋いで歩きながら、沙希が真剣な顔でそう言った。

これは、かなり緊張している顔だ。

「私やっぱり、もう一度、ボールを追いかけてる高宮 漣の姿、見たい。」

参ったな、と正直思った。

フットサルだってサッカーみたいなもので、俺はもうきっと一生、その中でプレイすることなんて無いだろうと思っていたのに。

そんな泣きそうな顔は、反則だぞ、沙希。

俺はお前に、そんな顔はさせたくないんだ。

「沙希もやるなら、一緒にやってもいい。」

「ほんとっ?!」

とたんに、嬉しそうな笑顔になりやがって。

でも、気づいてないだろ、沙希。

またお前、やらかしてるぞ?

「せっかくゼロベースになったのに、もう累積1回だなぁ、おチビちゃん。」

「えっ?・・・・あぁっ!」

くぅぅぅぅっ!と。

またも悔しそうな唸り声をあげるおチビちゃん。

「次は何にするかな。」

言いながら、沙希の手をキュッと強く握ると。

「ふんっ!」

小さな手が、負けじと俺の手を強く握り返してきた。


きっと俺たちは、こんな感じでずっと続いていく気がする。

まぁ、これからひと山もふた山も、数えきれないほどの山を越えるような気もするけど。

沙希は、もっともっと俺の事を知りたいと言うし。

俺だって、もっと色んな沙希を見てみたい。ただし、泣き顔はごめんだけど。

色々あるとは思うけど、きっと、飽きる事なんて、一生無いだろう。

なんたって、相手はあのおチビちゃんだ。

いつでも俺の想像の斜め上を行っているのだから。

「なにボーッとしているのよ、たかみ・・・っ」

ほら、な。

絶対、飽きる事なんて、ない。

「お前それ、わざとか?」

「そんな訳ないでしょっ!いったい私をなんだと思って」

「ド天然。」

「失礼ねっ、高宮 漣っ!・・・ぁっ」

「累積2回、だな。まぁ、頑張れ、おチビちゃん。」

こんなに最高な大野 沙希おチビちゃんに飽きるなんて。

俺には、絶対に、無理な話だ。


【終】

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がんばれおチビちゃん! 平 遊 @taira_yuu

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