ホームシックガール 第9話

何も考えられずにその場を走り去ると、私に気付いた松宮くんに追われた。

「朋ちゃん…朋ちゃん!!」

追いかけてきたのには気づいていたが、振り返ることはできなかった。こんな顔、見られたくない。


「朋ちゃん、いつまで泣いてんの。」

「だって、私…!!」

「2人がそういうことをしていたのは良くないけど、何か理由があるかもしれないじゃん。結論を出すのは話を聞いてからでもいいんじゃないの?好きな人のこと、信じなきゃ」

着信音が鳴った。画面には【松宮一樹】の文字。

「朋ちゃん。電話。」

スマホをとり、恐る恐る受信操作をした。

「もしもし…」

” もしもし、朋ちゃん!?さっきはごめん…あれには理由があって! ”

「いや、いいです。言い訳なんて聞きたくもないです。やっぱり、一樹く…松宮くんには、ああいう綺麗な人がお似合いです。お幸せに。」

そう言い、私は電話を切った。

勇人は何も言わず、ただひたすらに泣く私のそばに居続けてくれた。

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ホームシックガール 高校生 @koukousei2000

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