第5話 オカマ万歳!
次の日の地下闘技場は閑散としていたの。
私は女オーナの部屋に足を運んだわ。
これからも地下闘技場で頑張り続けると伝えるためよ。
だって、今の私には夢があるから。
そう、いつかゼレスディーノさまと結ばれるという夢が。
それまで、がんばり続けて、いつかきっとゼレスディーノさまに釣り合う女になるの!
ガチャリとドアを開けた。
しかし、そこにいるはずの女オーナーがいないじゃない。
代わりにすらりとした男が立っていたの。
その男は私を見るなり凄い勢いで頭を下げてきたのよ。
「すまない。君は自由だ」
少々低いけど透き通るような美声。
この声質、まさかあのオーナーなの?
「どうじたの?」
不思議に思った私は尋ねた。
「あのセレスティーノの野郎、私が男だと分かった瞬間に手のひら返しやがって、お前を開放しないとぶち殺すと喚き散らして帰っていきやがったんだ」
もしかして、ゼレスディーノさま、私のためにオーナーを説得してくれたのかしら……
「俺は女以外は興味ない! だとよ! あの腐れ外道騎士が!」
あぁなるほど、このオーナーはオカマだったのね。
それでゼレスディーノさまの怒りを買ったというわけね。
フン! 身も心も女にならないからよ!
私は違うわ!
私はゼレスディーノさまに処女をささげる女。
もうすでに三回も体を求められている女なのよ。
身も心も女になって、すべてをゼレスディーノさまにささげてみせる!
部屋を出た私は闘技場の暗い廊下を走り出していた。
そして、ついに明るい日の光の元へと駆けだした。
これが自由!
これが愛なのね!
ゴンカレエ=バーモンド=カラクチニコフは、この暗い地下闘技場とともに死にました。
今から私は、女の子!
明るい明るい女の子!
そう、カレエーナ=アマコなのよ。
ヘぇーーックション!
「セレスティーノ様、お風邪ですか?」
どうやら、女オーナーとプレイ中に裸で飛び出してきたのが悪かったようだ。
しかし、仕方ないじゃないか……
確かに脱がすところまでは楽しかったんだよ。
でもな……股間についてたんだよ。あれが……
あり得ない!
絶対! あり得ないだろ!
だまされたという感じで、めちゃくちゃ腹が立って。
だから、腹いせに酒場で争った奴隷を開放してやったわ。
あのオーナーの泣き顔が今でも笑える。
味方だと思っていたのに、急に裏切るなんてって顔しやがった。
だけど、なんだろう……先ほどから悪寒がする。
何か得体のしれないものに取りつかれたような、そんな気が……
いったいこれは何?
恋?
そんなわけあるかーーーい!
えっ! 奴隷にプロポーズしただろうって?
だれが?
俺が?
いつ?
酒場で?
あぁ、あれね……
だって、あの場で騎士の力見せたら俺が騎士ってばれるじゃん。
だからね、力を使わないで丸く収めようと思ったのよ。
しかも、あの時は女オーナーと早く遊びたくて、そわそわしてたんだよね……
そこで、さっさと酒場から逃げようということで、
とりあえず、あいつの油断を誘っておいて、
そ・こ・か・ら・の・猛ダッシュ!
これでトンズラ作戦成功ってわけよ!
あとは、去り際に、お決まりの捨て台詞!
「ヨシ!
何か変だった?
地下拳闘士の華麗なる転身~我が名はゴンカレエ=バーモンド=カラクチニコフ!よっ❤ ぺんぺん草のすけ @penpenkusanosuke
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます