第58話:第三次珊瑚海海戦⑨~〜深海の群狼

 1943年5月12日 天候曇り 時刻22:18


 闇夜の大海原に停泊する24隻の空母群、互いの距離が600メートルに満たないほど密集し、その規模の空母を守るには余りに心もとない14隻の駆逐戦隊と8隻の重巡が周囲を警戒している。


 そして空母群の格納庫内では機体の修復と整備が急ピッチで行われている、それはかなりの騒音で有り海中に潜む日輪潜水艦に位置を知らせるには十分で有った……。


 その米空母群から僅か西北西5kmに海中から潜望鏡を覗かせる潜水艦の姿が有った、日輪高潜隊旗艦、伊302である。


 伊200型と伊300型には20ノット以内で可能な静音航行と10ノット以内で可能な無音航行(厳密には無音では無くより音の出ない静音航行だが)が有り、後者の隠密性をもって米駆逐戦隊の哨戒をすり抜けて来たのであった。


「居たぞ、米機動艦隊だ。 多数の空母が密集しているな、まるで我々に狙ってくれと言わんばかりだ」

「司令、では!」

「うむ、我らの主任務を果たす時が来た、全艦魚雷の装填と注水は完了しているな?」

「はい! 全艦いつでも発射出来ます!」

「宜しい、全艦取り舵0,8コンマはち!」

「全艦取り舵とぉりかぁじ0,8コンマはちよーそろぉ!」

「……発射管一番から六番まで……放てっ!!」


 戦隊司令の号令の下、伊302潜より6本の魚雷が発射されるとそれを合図に伊200型潜水艦も一斉に魚雷を発射する。


「全艦魚雷発射を確認! 潜航しますか?」

「いや、注水音で気付かれたくない、潜望鏡下げ無音航行のまま面舵45!」

「潜望鏡下げ無音航行面舵45よーそろ!」


 戦隊司令の判断で潜航はせずその場で右に舵を切る高潜隊、その艦内では魚雷手と聴音手が固唾を飲んでその時を待つ。


 そして、米空母の一隻から巨大な水柱が立ち上がると次々と他の空母からも巨大な水柱が立ち上がる。


「魚雷命中音確認!!」

「よし、潜航150! 最大戦速!!」


 放った魚雷の命中音を確認した高潜隊は潜航を開始すると同時に一気に速度を上げる。


 ・


「《何事だぁっ!?》」


 突然の轟音に思わずハルゼーはそう叫ぶが、何が起こったかは大体の予想は付いていた。


「《潜水艦からの雷撃のようです! 損害不明!!》」

「《おのれぇっ!! リーから報告の有った高速潜水艦だと言うのかっ!? 被害状況の確認を急がせろっ!! 艦内作業は中止、機関始動急げっ!! 雷撃位置へ駆逐戦隊を差し向けろ!! 》」


 旗艦エンタープライズの艦橋にハルゼーの矢継ぎ早な怒号が響く、艦内は蜂の巣をつついた様な騒ぎとなり停泊していた空母群は慌てて錨を上げ機関を始動させる。


「《被害状況報告っ! 正規空母バンカーヒル爆沈!! 正規空母タイコンデロガ大破横転!! 護衛空母コメンスメント・ベイ、ブロック・アイランド、ギルバート・アイランズ、バターン共に轟沈っ!!》」

「《んなぁっ!? 一瞬でエセックス級正規空母2隻と護衛空母4隻が喰われたと言うのかっ!!》」


 次々と通信員から発せられる自慢の空母名とその凶報にさしものハルゼーも狼狽しその場で愕然と立ち尽くす。


「《報告、駆逐戦隊が指定座標に到着、これより索敵を行います!》」

「《ー-! 奴らの……日輪軍ジャップの潜水艦は足が速いらしい、マニュアルより広い範囲を索敵しろと伝えろっ!!》」

「《りょ、了解です!!サ、サーラジャ!!》」

「《音探ソナーはどうなっているかっ!?》」

「《ハッ! その……沈没艦が爆発を繰り返しているらしく探知が難しいとのー-》」

「《ー-もう良いっ!! 全艦最大戦速転舵反転っ!! ニューカルドニアに支援要請を行えっ!!》」


 ハルゼーの表情には隠し切れていない焦りが浮かびその怒号にはいつものキレは無い、然も有ろう参謀達の反対を押し切って魔王サタン討伐部隊を編成した事が完全に裏目にでてしまっているのである。


 仮に魔王サタンを撃沈出来ていたとしても再編した主力機動艦隊を失っては今後の全ての作戦の計画に支障が出てしまう、厄介な敵は魔王サタンだけでは無かった……。


 この状況は艦隊の安全よりも魔王サタン撃沈を優先した事による失策で有ったと後悔していた。


 そしてその後悔をより深いものにする刺客は海底より静かに、そして確実に忍び寄って来ていた……。


 ・


「……よし、そろそろか、針路そのまま静音航行(20ノット)に移れ!」

「針路そのまま静音航行よーそろ!」

「……聴音手、どうか?」

「……爆発音が多く聴き取り辛いですね……。 ん、いや、本艦10時方向に多数の駆動音を確認、距離5000乃至12000!」


 海中に潜む伊302が静音航行に移ると戦闘指揮所の聴音手が聴音器ヘッドホンに意識を集中させ、その耳で得た情報を戦隊司令に伝える、すると後ろに同乗していた技術士官と思しき男性が怪訝な表情を浮かべる。


「むぅ、距離に倍以上もの誤差が有るでは無いか、それは最新の聴音儀なのだぞ? もっと正確な距離は分らんのかね?」

「……爆発音が大きいんです無茶を言わんで下さい、そもそも聴音儀だけで正確な距離を測るなど不可能です! 『神の耳』でも持っていれば別ですが……」

「……! う、むぅ、そうか……わ、私の専攻は蒼子波通信だからな、その、音波は専門外なのだ……」


 海中の音は非常に複雑で有り100km先の音が拾える事も有れば5km先の音が聞こえない事も有る、その為、聴音儀パッシブソナーだけでその距離を測る事は非常に難しく大まかな距離を出せただけでも伊302の聴音手はかなり優秀な部類に入る、だからこそ聴音手の優劣に寄らない探信儀アクティブソナーが存在するのである。


「……よし、潜望鏡深度に浮上!」

「潜望鏡深度に浮上よーそろ!」


 戦隊司令の指示で伊302が潜望鏡深度に浮上し漆黒の海原を伊302潜の単眼が周囲を見渡す、そして退避行動を取る米空母艦隊の姿をその単眼に捉えた。


「見つけたぞ、かなりの高速でこちらに向かって転舵しているな、ニューカルドニアに退避するつもりか……全艦無音航行(10ノット)面舵15取りつつ雷撃深度に浮上、発射管一番から六番まで注水!」


 戦隊司令が潜望鏡を覗いたまま命令を出すと伊200型8隻はそれに従い一斉に行動を開始する。


 この時米第七艦隊は高潜隊司令の読み通りニューカルドニアの防衛艦隊の支援を受ける為に南東に舵を取っていた、しかしその針路は米艦隊の背後を取る為に高速移動していた日輪潜水艦隊が待ち構える形となっており米第七艦隊にとっては不運であった。


 この時米駆逐戦隊と重巡部隊は最初に雷撃が有った海域周辺を索敵しており本隊から離れていた事も不運に拍車をかけた。


「爆発音と艦体破壊音、収まってきています!」

「ふむ、全艦無音航行微速(5ノット)に移行、総員に通達、決して音を立てるな……」


 潜望鏡を覗いたまま戦隊司令が指示を出す、その言葉は各艦の『無音警告ランプ』の点灯によって総員に周知され、乗組員達は固唾を飲んでその場で静止する。


 漆黒の海原に息を殺し身を潜め、少しづつ忍び寄る日輪潜水艦隊。


 その存在に未だ気付かず潜む刺客に自ら接近していく巨大空母群。


 その運命の時は刻一刻と迫っている……。


 ・


 空母エンタープライズ艦橋では椅子に座るハルゼー提督が苛立ちを隠す事無く不機嫌な圧を振りまいており、艦橋要員達はその圧に押され普段以上に緊張を強いられていた。


「《……日輪潜水艦の発見報告はまだかっ!?》」

「《ま、まだ報告は来ていません!》」

「《本艦のソナーは何か拾ったかっ!?》」

「《い、いえ! 爆発と沈没音が収まってからは静かなものです……!》」

「《静かか……。 そうだ、静かだ、静かすぎる……》」


 日輪潜水艦が攻撃の後逃げているなら駆動音なり推進音なり聞こえる筈である、それが聴こえないと言う事はまだこの海域に潜んで居ると言う事に他ならない。


 今までの日輪潜水艦で有れば攻撃の後は鈍足なりに必死に逃げ頭上に爆雷が降って来ないよう水中で蹲りながら祈るしかなかった。


 しかしリー提督からの電文では水中速力推定60ノットの高速潜水艦と有った、にわかには信じられなかったが彼が嘘や誇張をする人物で無い事はハルゼーも良く知っている。


 今からでも魔王サタン討伐艦隊を呼び戻すか? 呼び戻したとて間に合うか? みすみす魔王サタン撃沈の好機を逃す事になるのではないか? 焦燥感の中でも冷静に物事を測るハルゼーの天秤が目まぐるしく傾き揺れる……。


 その時、通信手が絶叫に近い声を上げ青い表情でハルゼー達幹部を見ながら震える声で言葉を発する。


「《ー-サ、魔王サタン討伐艦隊より報告っ!! 魔王サタン損傷ダメージ欺瞞フェイク!! く、繰り返します魔王サタン損傷ダメージ欺瞞フェイク!! 魔王サタンは健在! 本隊はニューカルドニアへ即刻退避されたし……い、以上ですっ!!》」


「 「 「 「《ー-っ!?》」 」 」 」

  

 やられた、これ・・魔王サタンの狙いだった、手負いと見せかけ自分ハルゼーが駆逐艦隊を差し向けると読んでいたのだ、そして丸裸となった空母艦隊に高速潜水艦が強襲雷撃を仕掛ける、全て魔王サタンの掌の上だったのだ……。


 そう思い至り全てを悟ったハルゼーは絶句し立ちつくす……。


「《ー-っ!? 右舷より魚雷推進音多数っ!!》」

「 「 「 「《ー-っ!?》」 」 」 」

「《緊急回避っ!!》」

「《ま、間に合いませんっ!!》」

「《総員衝撃に備えろぉおおおおっ!!》」


 突然の凶報に艦長以下艦橋要員達が必死に行動する中ハルゼーは茫然と立ち尽くしていた。


 次の瞬間、米空母群から次々と巨大な水柱が立ち上がりエンタープライズにも一本が被雷し激しい衝撃とと共に艦が傾き右舷上部が吹き飛ぶ。


「《右舷中央に被雷、浸水発生!!》」

「《ー-左舷注水急げ! ダメコンはどうなっているっ!?》」

「《報告! 傾斜により格納庫内で整備中の航空機と搭載魚雷が誘爆、火災発生、格納庫外殻大破っ!!》」

「《ー-なっ!? 直ぐに消火班を向かわせろ!! 機体投棄は……左舷で無いと無理か、くそっ!!》」


 エンタープライズ艦橋は蜂の巣をつついたような騒ぎとなり指示情報が錯綜する、そんな中ハルゼーは頭から血を流し椅子にもたれ掛かっていた。

 

「《司令、大丈夫ですかっ!?》」

「《……俺の事は良い、艦隊はどうなっている、被害状況は……》」

「《……現在確認出来るだけでも正規空母エセックス、イントレピット、ワスプⅡの沈没及び転覆が報告されており護衛空母ケープ・グロスター、サレルノ・ベイが轟沈、ヨークタウンⅡ、レキシントンⅡも大破炎上中との事です……》」

「《……そして旗艦であるエンタープライズもこのザマか……壊滅、だな》」

「《……フランクリンとランドルフは無傷で健在です、それに第51特務部隊の護衛空母群も居ます、駆逐戦隊とニューカルドニア守備艦隊が向かっておりますので彼らと合流出来れば十分立て直せます!》」

「《……ふん、下らん気休めを言っている暇が有ったら次の雷撃に備えろ……直ぐに来るぞ……!》」

「《ー-っ!! 報告、発射管注水音多数確認、先程と同程度の雷撃が来ますっ!!》」

「《……う……ぐっ! ……全艦に通達!! 取り舵45後、蛇行を行い敵潜水艦の魚雷発射と同時に全艦面舵、生き残った艦は全速力でニューカルドニア守備艦隊と合流しろ!!》」


 ハルゼーはぐったりとしたまま副官に抱えられ椅子に座ると眼光語気鋭く指示を出す、この状況でも猛将ハルゼーの眼は全く死んではいなかった。


 ・


「司令、全艦魚雷発射準備完了しました、いつでも撃てます!」

「しかし伊200型はこれで予備含め魚雷を撃ち尽くす事になります、本艦には後6本ほど残ってはおりますが……」

「分かっている、最後の全力雷撃だ、慎重に行かないとな……さて、手負いに止めを刺すか、それとも……」

「ー-っ! 方位2,9,2及び1,5,7より駆逐艦と思しき駆動音を確認!」

「ー-っ! 司令!」

「分かっている、全艦取り舵0,5、一番から6番発射!!」

「……全艦、魚雷発射を確認!!」

「潜望鏡下ろせ! 全艦機関最大取り舵15、急速潜航っ!!」

「潜望鏡下ろせっ!!」

「全艦機関最大取り舵15急速潜航よーそろっ!!」


 高潜隊各艦は魚雷発射後急速に速度を上げつつ下降を開始する、同時に米空母群は面舵を取り発射された魚雷軍に艦首を向けようとする。


 米空母エンタープライズとヨークタウンⅡ、レキシントンⅡの横を数本の魚雷が高速ですり抜け後方に展開していた第51部隊の護衛空母群に襲い掛かる。


 護衛空母インディペンデンスはそれをギリギリで躱すが僚艦ベロー・ウッドとガボットは避け切れず被雷し轟沈した。 


 更に多くの魚雷が集中した正規空母フランクリンとランドルフも避け切れずフランクリンが6本もの魚雷を受け艦が折れ瞬く間に轟沈しランドルフも3本の魚雷を受け横転後、爆沈した……。


 こうして米第七機動艦隊は竣工したばかりの最新鋭空母7隻と護衛空母6隻を失い、第51特務部隊も6隻中2隻を失う損害を出した。


 これによって米海軍の南太平洋域における稼働空母は第七機動艦隊の護衛空母2隻と第51特務部隊の護衛空母4隻だけとなり、漸く再建した筈の米機動艦隊はここに再び壊滅の憂き目に遭ったのである……。


 ・


 同時刻、魔王サタン討伐艦隊からも断末魔の悲鳴が響き渡っていた、あれだけの数を誇っていた討伐艦隊も半数以上が海の藻屑と消え、残った艦艇も勝ち目の無い戦いを強いられ士気は海底を抉る程に下がり切っている。


「《おのれぇ魔王サタンめ……ヤツはまさしく悪魔なのか……味方は後どのくらい残っている!?》」

「《ハッ……。 本艦を含め重巡3、軽巡2,駆逐艦12……いえ、今11に減りました……》」

「《くそっ! 魚雷も砲撃も効かぬ相手とどう戦えと言うのだ……っ!!》」

「《ー-っ!! 報告! 司令、日輪艦隊旗艦ヤマト・・・から再三・・の降伏勧告が打電されています……っ!》」


 そう報告する通信手と周囲のブリッジクルーは縋るような目でピローを見ている、日輪からの降伏勧告はこれで三度目であった、一度目はヤマト・・・が浮上して欺瞞を解いた直後、二度目は駆逐艦数隻と重巡2隻が撃沈された直後である、二回ともピロー司令は即座に断った、その結果がこの地獄絵図で有りブリッジクルー達の表情は明らかに勧告を受けて欲しい、この勝ち目の無い戦いを終わらせてほしいと言う思いが込められていた。


 ピローとてこの戦いに勝ち目が無いのは十分過ぎるほどに理解し思い知っている、しかし撤退しようにも加速力でも最大速力でも圧倒的に劣る米艦艇では逃げ切れない、バラバラに逃げると言う手も有ったが、少し前なら半数は逃げ切れたかも知れないが現状では各個撃破されて全滅する可能性が高い。


 何より魔王サタンを引き連れて本隊の居る方向へ逃げる分けにはいかない、逃げるとしたらブリスベル方向であろうがそんな距離を優速の魔王サタンから逃げ切るのは至難の業である。


 即ち将兵の命を重んじるのであればピローに残された選択肢は降伏以外に存在しない事になる、然し陸上戦力で有れば兵装を破棄し司令部を燃やし機密文書を残さず処分して敵に資源的負担をかける捕虜になると言う選択肢を取る事も出来るが海上戦力の降伏では艦船の鹵獲が問題となって来る。


 戦車や航空機は降伏前に破壊する事も比較的容易であるが艦船の場合はそうはいかない、空想小説や映画の様な自沈装置でも付いていれば良いが実際にはそんな装置は付いていないからである。


 故に艦船を自沈させるには火薬庫に火を放つ以外に無いが、時限信管等を応用した発火装置を作成設置するには時間が足りず人力でそれを行うには各艦数名の犠牲者が必要になるうえ確実では無い、他の艦からの攻撃で沈めると言うのもこの状況では難しい。


 つまりこの状況での降伏は敵である日輪に16隻もの最新鋭艦艇を引き渡すと言う事になる、それは祖国に対する裏切りと取る者も少なくは無いだろう。


 そしてピローはその屈辱に耐えられる人間では無かったのだ。


「《……だめだ……だめだだめだだめだっ!! 栄えある合衆国ステイツの名誉の為に、断じて降伏など有り得ん!! 全艦日輪重巡に突撃、忌々しい日輪軍ジャップに一矢報いるのだぁああっ!!》」


 そう声高々と叫ぶピローに対しブリッジクルー達は絶望の表情を浮かべる、そして神に祈りを捧げる者、愛する者の写真にそっとキスをする者、嗚咽を漏す者など様々に最後の僅かな時を過ごす。


 速力を上げた重巡デトロイアとその僚艦2隻の主砲が出雲に向けられ一斉に射撃される、その砲撃の何発かは出雲に直撃するがダメージを与えられている様には見えない。


 既に魚雷を撃ち尽くしていた駆逐戦隊は15cm砲を出雲に向けて放つがそんな物が効こう筈も無かった。


 そしてその返礼は大和、武蔵、出雲、島風の一斉射であった、照準の全てがデトロイアに向けられて放たれた砲弾はデトロイアとその周辺へと降り注ぎデトロイアとその僚艦が無残に爆ぜて行く……。


 ピローが恐怖に歪んだ表情のまま断末魔を上げる間も無く艦と共に爆散すると、それを待っていたかのように生き残ったボルチモア級重巡より白い信号弾が3つ放たれた、国際規定の信号弾で『降伏』の意である。


 その信号弾を見た米駆逐戦隊の艦艇も次々と砲身を下げマストに白旗を掲げて行く、ここに第三次珊瑚海海戦の勝敗は日輪海軍の圧勝で決したのであった。


 この時、時刻は00:24、日付は変わっていた。





   ~~登場兵器解説~~



◆航空母艦エセックス級:全長412メートル 全幅78メートル 速力60ノット 


 両舷装甲80mmコンポジットアーマー 


 水線下装甲無し 


 飛行甲板装甲300mmコンポジットアーマー  

   

 艦載機数 70機+露店駐機30機 


 兵装 15㎝高角砲6基 35mm四連装機銃28基


 装備 中央エレベーター2基 側舷エレベーター1基 電磁カタパルト4基


 主機関 フォトンエンジン 4基


 推進機 2基


 同型艦:多数


 概要:コメリア合衆国が対日輪機動艦隊の要として戦前より建造を開始していた大型航空母艦であり、その航空機運用能力は日輪最新鋭空母である雲龍うんりゅう型や信濃しなの型を凌駕する、その高性能空母が量産体制に入っており1943年時点で24隻の建造が計画されている。

 今後その圧倒的物量が日輪海軍の脅威になる事は間違いない。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2024年7月8日 12:00
2024年7月16日 12:00

架空戦史・日輪の軌跡~~暁の水平線~~ 駄猫提督 @danekosansei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ