欠けた黒
太宰が消えたと騒ぎになっているポートマフィアビル内を中原中也はボトル片手に歩く。
「さて、どこで飲むかな。」
ビルを出て、バイクに跨がり走り出す。
太宰が消えたと聞いた時は驚いた。喜びよりも驚きの方が勝っていたのは
バイクを走らせて数分。ふと思い立ち、ある場所に向かう。洋館を
「いい眺めじゃねぇか。」
そのまま腰掛け、持ってきたボトルを開ける。ペトリュスの89年物。祝いの酒にぴったりな品だ。一人酒を楽しみながら、夜を迎える街を見ていた。夜を支配するポートマフィア。
『長とは組織の頂点であると同時に組織全体の奴隷だ。組織の存続と利益のためならば、あらゆる汚穢に喜んで身を浸す。部下を育て、最適な位置に配置し、そして必要とあらば使い捨てる。組織のためならばどんな非道も喜んで行う。それが長だ。』
そのポートマフィア首領の言葉が浮かんできた。
《使い捨てる》
そこだけが頭の中で反響する。太宰の
葡萄酒をまた一口味わい、悪魔野郎との別れに祝杯を挙げる。
「良い夜だ。」
─ 🍷 ─ 🍷 ─ 🍷 ─ 🍷 ─ 🍷 ─ 🍷─ 🍷
翌朝、今日から奴と顔を合わせなくて済むと上機嫌で支度し、思わず飛び跳ねてしまいそうになるほどの足取りで職場に向かうため駐車場に行った。そして、自慢の愛車のドアを開けた瞬間――。
ドォォン!!!
大きな音と共に吹っ飛ばされた。とっさに異能でガードしたため彼自身にはダメージは無いが、さっきまでそこにあった愛車は、、、。
「――!!」
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