フィルムに閉じ込めて
居酒屋に向かう道すがら、彼に貰った言葉を思い出していた。こんな私のことを友達だと言ってくれた彼の言葉を。自分自身の生きる意味をゆっくりと確認するように。
ポートマフィアを抜けると決めてからは、次の居場所を探し続けていた。
(あ、その前に誰かさんの車に爆弾も仕掛けたっけ。持ち主に似て、車も小さかったなぁ。うまく爆発してくれてたら良いけど。)
といっても、異能力者である上に今まで黒社会で散々やってきた私を受け入れてくれる場所なんてそうそうあるとは期待していなかったが。そんなわけで居場所を探すのではなく、斡旋してくれそうな人にコンタクトをとることにした。うまくいくかは分からないが、情報の量、正確さについては間違いない。
「まったく、私が人助けをすることになるとはね。私を知ってる人も驚くだろうけれど、私が一番驚いてるよ。」
味方からも恐れられ、〈真っ黒な血が流れている〉だの〈闇の化身〉だの言われてきた。そんな私に《人助けをしろ》なんて言えるのは君だけだよ。君は私の未来までも予見していたのかな、なんて。
『マフィアになるために生まれてきたような男』は困ったように笑った。
「君には敵わないなぁ。」
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「人を救う側になれ。どちらも同じなら良い人間になれ。
弱者を救い、孤児を守れ。正義も悪もお前には大差ないだろうが。
その方が幾分か素敵だ。」
黒の余韻 べる @bell_sasami
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