第2話 魔法使いレイラ

 神のお告げにより、悪霊に鍵を求め、勇者クラトスは西の洞窟に向かうことになった。


 村を出る準備を整え、いざ出発。と思ったら神が出てきた。

 「ごめーん1つ言い忘れてた。クラトス、おぬし武器は持っとるかな?」

 いや、水晶なくても出てくるのかよ。

 確かに、旅に出るのに武器がない。これじゃ魔物と闘えない。

 「いえ、持ってないです」

 「そしたら、ここから北に向かうと、コマシャの村がある。その村に、一流の鍛師、カジトという男がいる。そやつ尋ね、剣を打ってもらうのだ」


 お告げ通り、北へ歩いていると、スライムが現れた。

 意外と可愛い。こいつが攻撃してくるのか?でもどうやって・・。ゲームでは体当たりくらいしかしないが。

 そうこう考えていると、スライムが飛んできた。

 「あぶね!」

 油断した。そうか飛んで攻撃してくるのか。おのれ、キラースライムめ!

 スライムは2回めの攻撃をしてきた。

 俺は右ストレートをスライムにかました。

 見事命中し、スライムは消えた。

 スライムくらいならワンパンでいけるのか。

 スライムは倒せても、他の魔物はそうはいかないはず。早く武器を作ってもらおう。


 『コマシャの村』

 到着。出会った魔物がスライム3匹だけでよかった。

 この村はとても賑わっていた。きっと商業が盛んなのだろう。

 そんなことよりカジトさんのところへ行かないと。

 近くにあった八百屋のおばさんに尋ねた。

 「すみません、この村にいる鍛師のカジトさんを探しているのですが、どこにいるかご存知でしょうか」

 「旅の者だね。カジトならここを真っ直ぐ行くと山の入り口があって、その入り口をさらに進むと小さな古屋がある。そこにいるはずよ」

 「ありがとうございます」

 カジトがいるという山へ向かった。

 山に入り、10分ほど進むと小さな古屋が見えた。

 ここか。なんか緊張するな。

 「すみません。カジトさん。いらっしゃいますか」

 返事がない。

 「カジトさん。旅の者ですが、あなたに武器を作ってほしくて参りました」

 すると、古屋の裏から「カンカンカン」と鉄同士がぶつかり合う音が聞こえた。

 音のする方へ回ってみると、上半身裸の、体格のいいおじさんが剣を打っていた。

 おじさんは俺に気づいた。

 「なんだ小僧。何しに来た」

 「た、魔物と闘うための武器を作ってほしくて・・」

 「小僧、俺が誰だか分かって頼んでるんだろうな?あ?」

 神様ー!こんなに怖い人なら言っといてよ!

 「神様に言われた通り来ただけで、その・・」

 「がははは!冗談だよ。神から聞いてるよ。勇者が武器を頼みに来るってね」

 なんだよ知ってるのかよ。てか、「カジトさんも神様が見えるんですか?」

 「ああ。俺も昔は魔王を倒すために旅をしていてな。結果だめだったが、神にはお世話になったよ」

 そうだったのか。この人も昔は勇者を。

 「いま打っているのがお前の剣だ。もう少しで出来るから中で待っとれ」


 剣を打ってもらい、カジトさんの古屋を出た。

 「ありがとうございました」

 「いいってことよ、頑張れよ。神によろしく言っといてくれ」

 そうして、コマシャの村も出て、西の洞窟へと向かった。

 洞窟が近くなると、魔物に出会う回数も増えた。マンドラゴラ、コボルト、どれもゲームで見たことのある魔物だ。

 そこまで強くはないが、数が多いと1人だとなかなかきつい。仲間が欲しい。

 そして、洞窟に着いた。


 洞窟の前に、黒髪に所々赤色の髪が混じった女が立っていた。

 「何しにきた。この洞窟は渡さないよ」

 「いや、洞窟はいらない。その洞窟の中にある悪霊の鍵が欲しいんだ」

 「悪霊?鍵?何かわからないけど、そんなものここには無い」

 こいつの洞窟なのか?とりあえず中に入れてもらおう。

 「そんなはずはない。中に入れてくれ。俺がこの目で確かめる」

 「いいが、洞窟はやらんぞ」

 「だから、洞窟には興味ない」

 「絶対にやらないからあな」

 「しつこいな、ぺちゃおっぱい」

 「ぺ、ぺちゃじゃないし!」

 こいつと話していると疲れる。

 洞窟は入り口こそ大きくはないが、中に進むとだんだんと開けてきた。

 行き止まりまで行くと、テントだけがあった。中はランタンで明るかった。

 「テントの中見るぞ」

 「洞窟はやらんからな」

 「・・・うるさい」

 中を一通り探したが、鍵は出てこなかった。

 おかしい。そんなはずは・・・。

 「だから何もないって言ったでしょ。もう出てって」

 他に怪しいところもなく、洞窟を出ることにした。

 「悪かった。君、名前は?」

 「レイラよ」

 「ここで何をしているんだ?」

 「少し魔法が使えるから、それで狩りをして生活している」

 魔法使いか。仲間になってくれないかな。

 「俺はクラトス。突然だが、仲間にならないか?」

 「嫌だ。鍵を探しているんだって?そんな変な旅、したくない」

すると、神が現れた。

 「おい!この自称神様!ここに鍵なんか無いじゃないか!」

 「えー、クラトスよ。お前のお怒り、ごもっとも。ごもっともです。しかし、神に向かって自称とは失礼な」

 「じゃあなんで鍵がないんだよ」

 「それはだな・・・えーまあ、うっかりです」

 ・・・こいつ。うっかりだとお?

 そんなやりとりを見ていたレイアが「神様?本物?」

 どうやらレイラにも神が見えるらしい。

 「見えるのか?」

 「うん、顔の大きいおじさんの神様が」

 レイラは意外とデリカシーが無いのかも。

 「おい。女。失礼だな。そんなにストレートに言わなくてもいいでしょうよ」と、神はツッコミを入れた。

 ツッコム神ってどうなんだよ・・・。

 「もう、そんなことより。本当の鍵の場所、教えてくださいよ」

 「わかっておる。西の洞窟ではなく、東の山へ向かえ。その麓にアニモの村がある。その村の長を訪ねれば、詳しい場所がわかるはずだ」

 そう告げ、神は消えた。

 「クラトス、私も手伝うよ。あなた、神と旅をしているなんてすごいじゃない」

 あんな神でも、初めて見る人からすれば立派な神様に見えるのだろう。

 そんなことはどうでもいい。

 欲しいと思っていた仲間ができた。

 「本当か?魔法使いが一緒だと心強いよ」


 そうして、勇者クラトスと魔法使いレイラはアニモの村へと向かった。 



 








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異世界来たけど神のやろうが頼りない @taitenyu

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