第4話 それってもしかしてヤバいやつでしたか?

「龍斗!」

教室から出てきた親友に手を振る。龍斗はこっちを見ると、何やってるんだと顔を覆う。帰りに、龍斗のクラスの前で待ち伏せしていたのだ!(↑かわいいかよ)

「…蒼汰?」

「なあなあ!俺さ!と、とと、とも…だちできた。」

「なんで途中から自信なさげなんだよ…って友達!?蒼汰が?すごいじゃんか!」

「そうなんだよお!あ、でもさ。女子なんだよね。」

「え?」

その瞬間、空気が凍ったのがわかった。いつも優しそうな目は、光を失った様に硬直した。

「龍斗?」

「…そうか。そういうことだったんだな。」

これは…明らかにいつもの龍斗じゃない。表情を窺おうとしたが前髪がかかりよくわからなかった。龍斗は突然こちらに向き直った。目はちっとも合わせてくれようとしない。

「蒼汰。それって、相模 菜奈 とか言う奴だったりする?」

…え?もしかして、なんかヤバい人だったりする?

「いや、そういうんじゃないけどさ。」

そっか、なら…って若干心読まないで!

「相模菜奈ってさ。結構男子に人気らしくてさ。この学園初のファンクラブ持ちだって聞いて気になってたんだ。まぁ恋愛とかはないけど。2組なら、まさかってね。」

あぁ、そういう感じか。なんだ、よかった。でも本当、龍斗ってそういう系の情報、昔っから詳しいよな。

「それに、相模菜奈の隣の席が、例の外部入学生だって噂になってたしな。」

あ、あぁ。俺も目立ってんのか…。というか、龍斗はなんで未だに目を合わせようとしないんだ?

「…蒼汰、男女の友情って、あると思うか?」

目を逸らしたまま、どこか遠くを見たまま、龍斗はそう零した。

「少なくとも…俺は、俺らはあると信じたいよな。向こうは、わからないけど。」

俺をいつもは真っ直ぐ見つめて話してくる龍斗が、あからさまに目を逸らしているのを見て、俺はこれからどうなってしまうのかを悟った…気がした。

これ、マジでヤバいやつじゃん…

その壮絶さは、俺から語彙を奪った。

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