突然お手紙を差し上げる非礼をお許し下さい。

その一文から始まる手紙の差出人は、とある女の娘だった。

文学の世界の住人のような語り口の差出人。
彼女が語るのは、母親のこと、十歳のころのこと、父親のこと。

恨みや憎しみは、いつかは消えるだろうか。
見えなかったものが見えて、正体がわかるだけかもしれない。
さみしいような、かなしいような、やさしいような終わり方に、

「すべてさびしさと悲傷とを焚いて、人は透明な軌道をすすむ」

この一文を、何となく思い出しました。

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