山奥にひっそりと暮らす人々の集落。
結界で守られた集落の平穏は、不意に破られた。
刺客の手により、民は殺され、里は焼かれ、何もかもが奪われた。
生き残った一人の少女の身体も無残に斬り裂かれてしまった。
だが、彼女の想いに呼応し、その里に封じられた神器は目を覚ます。神器は少女の身体を器にすると、彼女の無念を晴らすべく歪に笑う。
かくして、彼女の復讐譚は幕を開ける。
雅な描かれるは風光明媚な和の光景。
豊かな自然の情景の中で少女は躍動する。
彼女の行く道に待ち受けているのは、鬼か邪か。
彼女たちと共にその世界の運命を確かめよ。
この世の全ての命が息吹き、色づき巡る古風ファンタジー。
隠れ里の長の娘、星子は家族と離れ、魔性のものとして封じられた白鞘の刀に舞を捧げる日々を送っていた。しかし静穏な日々と家族は、突如としてやってきた敵によって奪われる。星子は復讐を誓い――そんな彼女に、封じられていた魔性が取り引きを持ちかけて、展開が動き出します。
星子の体に宿り、白星と名乗る魔性は、星子が望んだ復讐の準備を整えながら旅をする。魔性と言うだけあって、敵対したものには容赦をしない白星ですが、道中で出会った獣たちと仲良くなったり、星子が得意とする舞を舞ったり、金銭感覚が乏しいせいで問題を起こしかけたりなど、可愛らしさを感じる面も持ち合わせています。
和の雰囲気に満ちた硬派な文章で紡がれる、白星と星子の旅と、復讐の行く末。恐ろしさも美しさも紙一重で持ち合わせた、一等星のような輝きを放つ魔性の活躍を、ぜひ目に焼き付けてください。