最終話 後日談

 数日後。


「お久しぶりですっ! 改めまして、由依です!」

「俺は拓也。よろしくね、由依ちゃん」

「はいっ! あ、もう雫くんをクラブには連れて行かないでくださいね?」

「わかってるよ。そもそも、いつも雫が俺を誘ってきてたんだから」


 それを聞いた由依は雫をじと~っと見つめる。対し、雫は苦笑いを浮かべることしかできなかった。


 あれから雫と由依はカップルになった。

 その際、雫はこれまでのチャラチャラとしていた過去を全て話した。別に悪いことをしていた訳ではないし、わざわざ言う必要はなかったかもしれない。


 それでも由依には話しておくべきだと雫は考えたのだ。

 由依がそんな過去を受け入れたことで今の二人がある。


「大丈夫だよ、由依ちゃん。雫は女の子を傷つけることはしない。俺が保証するさ」

「拓也……」

「あーあ。なーんか俺も彼女ほしくなってきたなー。チャラついてんのもそろそろ終わりかな」

「拓也さんならすぐにいい人見つかりますよ!」

「だといいけど。そんで由依ちゃんはいつから雫に惚れてたの? やっぱり初めて見た時から?」


 拓也はひそひそ話をするように、由依に問いかけた。

 雫はどこか恥ずかしそうだ。


「うーん、そうですね。最初から凄くカッコイイ人だなって思ってましたけど」

「けど?」

「ビールを掛けてしまった時に怒るどころか、優しく接してくれたんです。その時にこんな素敵な人がいるんだって」

「た、拓也! もういいだろっ! 恥ずかしすぎて死にそうだ!」

「『素敵な人』だってよ! ひゅーひゅー!」

「あはは。あ、私お手洗いに行ってきますね」


 由依はそう言って席を立った。


「なあ、拓也。ちょっと聞いてくれ」

「ん? どうした?」

「付き合ってから初めてのデートってどこがいいかな?」

「……はあ? どこだっていいだろ。てか、もう彼女なんだから『どこ行きたい?』って聞けよ」

「いやさ、あの……」


 雫は途端にもじもじとし始めた。


「んだよ?」

「恥ずかしいっていうかさ……」


 拓也は絶句した。


 そしてポツリとこう呟いた。


「チャラ男がマジ恋したらこうなるのな……」

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チャラ男がマジ恋した結果 白水廉 @bonti-

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