電話。


『もしもし』


 彼のつかれた声。


「あ、ごめん。仕事中だった?」


『ついさっき終わったよ』


「こっちは、さっき電源が復旧したの。今日は仕事にならなかったわ」


『そいつはすまんな』


「なんであなたが謝るのよ」


『そんなあなたに、俺からのクリスマスプレゼントだ。窓の外をご覧なさい』


 窓の外。

 弾ける音。

 光。


「わあ」


『特注のクリスマスイルミネーションです。電源復旧の確認もねております』


「きれい」


『メリークリスマス』


「メリークリスマス」


『あと一時間ぐらいで帰るよ』


「うん。待ってる」


『ごはんは何がいい?』


「ちきん」


『チキンね。久々にグリルで焼くかあ』


「やったっ」


『じゃ、残りの仕事をかたしてくる』


「うん。またね」


 暗いクリスマスも、イルミネーションの輝くクリスマスも。両方見れて、案外しあわせだったかも。彼の焼くチキン。楽しみだなあ。

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クリスマスインザダークネス 春嵐 @aiot3110

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