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「ふざけるなっ」
狐が、発電所内のいたるところを食い荒らしている。
「エレクトリッカー。いまどこだっ」
仕事仲間。通信が安定しない。
「くそっ」
こんな仕事がなければ、恋人と一緒に過ごせたのに。
『こちらエレクトリッカー。はい。だめです。基板から何から穴だらけ』
「なんとかしろっ」
『んなこといわれたって』
この発電所は、落とせない。今でさえ供給電力がぎりぎりなのに。
『みんなクリスマスを謳歌してるんだろうなあ』
「お前は何をするつもりだったんだ?」
『いるみねーしょん』
「見んのか。お前が?」
『光るほうです。自分で蛍光灯の中に入って、ぴかって』
「楽しませる側なわけだ」
『そのためにもここは死守したいですね。死守』
「そうだな」
基板。何もないところから、配線を繋ぎ直す。電子空間内の穴だから、現実に基板が焼ききれるより、幾分かは、まし。幾分か。
「このやろう」
俺の。
「クリスマスをっ」
返せ。
『エレクトリッカー。基板復旧を確認。よっし。じゃあこちらは本体を仕留めにいきます』
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