エピローグ――Age16

 寝る前にもう一度スマホを確認すると、凛からのメッセージがもう一件来ていた。

「海乃もな!」

 漢字で書かれた私の名前、海乃。

 わざわさ漢字で書いてあるところにちょっと嬉しくなって、遂に抑えきれない涙が一粒、そっと零れた。

 なんでこんな惚れたくなるようなことをするのかなあ。なんでこんなに優しいのかなあ。どうしてちょっと時間空けてから返信するかなあ。

 まるで「幸せになります」って送ってから「海乃も」って送る間に私のことを考えてたみたいじゃん。


 涙が止まらない。

 本当に、やめてほしい。

 私、凛のことが好きで好きで堪らなかったのだ。飾ることなく大好きだったのだ。

 なのにそんなことを言われたら、幸せになるしかないじゃんか。



 初恋相手が凛で、本当に良かったと思う。


 幸せになるよ、私。

 だから見ててね。

 それで、あなたの幸せもいつか見ることができたらいいな。

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銀木犀の花のように るら @nami-seal

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