ナチュラルに一体化する性愛と暴力

 どうもヤバい感じの男性が、なんだか訳ありっぽい美しい男性を、安値で貰って帰るお話。
 淫靡でダークな雰囲気の現代ファンタジーです。約3,000文字とコンパクトな分量の通り、作中で起こる出来事も極めてシンプルで、しかしその中にやたらと濃密なセックスとバイオレンスが詰め込まれた強烈な作品。
 何がいいってやっぱり暴力です。美しい男の振るう壮絶な暴力、そこにどうしてもそうしなければいけない、特段の理由の〝ない〟ところ。
 かたや倒錯した性愛の発露、かたや動物的な防御本能。必要に迫られてのことではなく、といって憎しみや怒りという感情もなく、強いて言うならきっと「彼らが男であるが故に」振るわれなければいけなかった暴力。大変に性的でした。バイオレンスに男性性を感じることの魅力。
 主人公の静かな狂気が好き。饒舌だけど明らかに壊れちゃってる感。口数の少ないもうひとりの彼(忍羽さん)も印象的でした。美しい男っていいよね……。