やばい魔女さんによる本当にやばい身体改造

 絶望し、自死を望む男性が、偶然出会った魅惑の〝魔女〟にその身と人生を捧げ、少しずつ体を改造されてゆくお話。
 身体改造のお話です。それもただモチーフとして主軸に据えるだけでなく、本当にただそれのみを徹底して描いたかのような作品。もうこの時点で偏執的というか、ただの「こだわり」という語には収まらない何か圧のようなものを感じます。思い切りの良さというか潔さというか、メインの部分だけをひたすら追求するようなお話。すごい。
 抗いようのない妖しい魅力を湛えた魔女・鼎さんの身体改造に対する偏執的な熱意が魅力的。というのも、主人公の「半ばその狂気に当てられたかのような視点」を通じて物語が描かれるため、「どう考えても異常なのにそこに癒しを見出している」というような、だいぶ異常な状態を追体験させられる感じが最高でした。結局のところ何者なのか、いまいち正体が判然としないところも好き。いろいろ謎は多くとも、とりあえず「やばい人」なのは間違いないところも。
 あとはもう本当、身体改造です。いや本当にその描写がとにかく詳細というか、熱の入りようがすさまじい。他の要素が些細なことに思えるくらい。ハードでダークな雰囲気漂う、アングラ感満点のホラーでした。