１９７３年　奄美の夏物語

奄美大島の夏休み、私の人生変わった。「奄美と出会わなかったら人生が変わっていただろう」。私、即ち山田真は自信を持って言い切ることが出来る。それを証明する様に私の左手薬指に嵌る指輪の裏を見ると、“１９７４．５．２６　R　ｔｏ　M”と印字されている。
　１９７３年夏、人生の目標を見失い鹿児島県の奄美大島を旅した。島の自然に魅了されて、この島を離れ難く、喫茶店で働きながら島に残ることにした。
　街を歩くと路地から聞こえる、島の女達の、紬を織る「ガタン・ガタンガタン」というリズミカルな音色が私の心に響いた。
　ある日、魅力的な旅行客が喫茶店に入ってきて私は「ビビット来て」恋に落ちた。この女性は小田前玲子と言う２０歳の大学生で奄美に過去を捨てに来たと言った。二人で奄美の海や森を楽しんで関係を深めたが友…続きを読む