エピローグ

エピローグ「リビングにいる巨乳お姉さん?」


 三時間の練習後。

 サッカー部二年の部室で隣に座った清隆に俺はため息交じりに話しかけた。


「清隆、宿題やったか?」


「宿題? あぁ、あの数学の……てか亮介、俺がやらないと思ってるのか?」


「だよな、お前はやってるよなぁ」


「もちのろんっ、というか俺は夏休みの最後の方は予定だらけだしなっ。今のうちにやらないと終わらないのよ」


「うわ、忙しいアピールかよ、きっしょ」


「へぇ、言うね。居候のj——!?」


「おま、やめろっ‼‼」


 清隆が危うく言いそうになったため、俺が口を思い切り塞ぐと案の定部室で着替えている他のメンバーがこちらを振り向いた。


「どうしたんだよ、りょー」

「うわ、何何? りょーのコイバナとか?」

「糸ちゃんも食いついてきたぞ~~、ほら言ったれ言ったれ!」

「俺も聞きてぇ~~こいつの彼女~~!」


 外を歩いていた明るいマネージャーや上裸で笑いながらがーがーと言ってくるメンバーたち。クソうぜえ、それに行ったこいつマジで許さん‼‼


「——っ! いたいたいたたたたたたっ‼‼ やめ、分かったからやめろっ!」


「クソッたれが、あとお前ら! 俺にはそんな噂も変な恋もしてねえからなっ!」


 清隆のこめかみに拳をぐりぐりと圧しつけながら、堂堂と言ってやった。さすがの俺の形相に面白くなさそうな顔を向ける奴ら。っち。そんなに聞きてえならYUTUBEでも見てろ。俺は話製造機じゃねえんだ。


「っち、清隆。よくやりやがったな……」


「あっははは~~、すまんすまん! ついだよ、つい!」


「つい、な……次言ったらその口引きちぎってやるから」


「うひょ~~、まさか亮介が俺の口を奪って、き、きき、キスをっ⁉」


 まさかのホモ展開っ——‼‼


「って、んなわけあるか、ひねり潰すぞ!」


「っちぇ~~、それもそれで案外ありだったのかもしれないのになぁ……」


「おい、正気か。さすがの俺も引くぞっ」


「ははっ。冗談冗談~~マイケル冗談~~」


 全く何年前のギャグだ。寒いったらありゃしないぞ。


「はぁ……いいから帰るぞ、清隆」


「はいはい、ちょい待ちっ」


 制汗剤を体に塗って匂いを取る。汗臭ささと制汗剤のすっとした匂いが立ち込めるこの部室とは早く出たかった。スパイクの土を適当に取って、リュックに仕舞う。そして、準備が終わった清隆と帰路に着いた。



「んじゃ、またなぁ~~」


「おぉ~~、また明日~~」


 うざったるいが案外一緒に居ると面白い幼馴染と帰路を分かつと俺はいつも通りの川を渡って、昼の微風に吹かれながら自転車を漕いだ。


「ふぅ」


 いつも通り……か。

 いやしかし、その言葉は半分違う。


 それは、数日前まで一緒に居たお姉さん。

 巨乳でパフパフ、触ったら折れそうなほどに細くて真っ白な小さな身体のロリっ子系お姉さん。

 帰ったらご飯を作ってくれて、優しい彼女——椎奈真音がいなくなったからだ。


 まぁ、これも何かの縁だったのだろう。出会いあれば別れあり。時間切れ――というわけだ。あのキスの返事も何もできずじまいだったし、結局これからはただの隣の人って言うわけだ。


「はぁ……まあ、いっか」


 深呼吸をして、扉に手を掛けた。

 ゆっくりとまわして中に入ると——何も声がしなかった。


「……なぁに、期待してんだ俺」


 いるわけもないのにな。

 静寂に包まれた簡素な部屋。これが普通だ。期待も良くないぞ、俺。


「今日はご飯何がいい?」


 そうだなぁ、あれか。ハンバーグとか食べたいなぁ。

 真音さん特製デミグラスソースがかかったやつ!


「ハンバーグですかねっ、美味しいソースのかかった」


「そうね、あれねっ! 分かった、お姉ちゃん頑張る!」


「おう、頑張れっ!」


「うんっ!」


「真音さん、がんば、り、すg……ん?」


 ん、何かがおかしい。部屋には誰もいないはずだし、真音さんだっていないはずだ。


 そうだな、もしかして幻聴なのかな、まったあれか。


「真音さんなんていないんだ、やめろっ俺!」


「わ、私……ここにいるけど?」


「まさかぁ」


「いるよ?」


 ばふり、ばふり、そしてぱふん。

 背中に何回か感じたあの圧が触れた。


 ま、ま、まま……真音さん?


「ええっ⁉ 真音さんっ⁉」


「うひゃっ!」


 なんとまあ、そこにはいつも通りの格好をした真音さんがいるではないですか!

 数日ぶりだが、面影も何もそのままな椎奈真音がその場にいた。


「な、なんで真音さんがここにいるのっ?」


「えぇ……っと、来ちゃった?」


「来ちゃったって、え⁉」


「べ、別に隣の家だし……さすがに顔も見なくなるもの変だしねっ」


「あぁ……でも、そんな急に」


「急にじゃ、だめ?」


「え、いやいやっ! 全然いいですけどっ!」


「でしょ? それじゃあ、座って待っててね」


「……は、はい」


 いつも彼女はリードする。

 ニコッと笑みを溢した真音さんを見て、俺は何も言えずにリビングに向かった。



 そっか、俺は勘違いしていのかもしれない。

 いや、というかしてたし。


 隣の家なんだし、いつでも会えるじゃねえか……。



                                FIN




あとがき


 最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!

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 では、次の作品のあとがきで!

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高校二年の夏休み、隣に住んでいる巨乳ロリなお姉さんに懐かれてしまったがめちゃくそエロい件 藍坂イツキ @fanao44131406

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