お医者さんになりたかった「うーたん」と、彼の天使「サヨちゃん」のラブストーリー。
最高でした。冒頭から怒涛の展開なのですが、でも決してインパクトだけではなく、〝これ〟でなければ描けないものが描かれているのがもう本当の本当に好き。
うーたん(宇一郎)の視点を通し、サヨちゃんに振り回されるような形で進んでいく物語。最初は展開の破天荒ぶりに、次いで彼のサヨちゃんに対する愛の深さに、そしてしまいには彼自身の根っこに刻まれたスティグマやトラウマのようなものまで。一文一文にものすごい力があって、もうこれでもかと殴りつけてくるような独白の連続に、酩酊感にも似た快感を覚えてしまいます。
サヨちゃんの造形が魅力的。天使であり、でも時にカマキリに重ねられたりもする、ある意味理解の及ばない存在。彼女がいかにして彼の天使になったか。
結果的に振り回している、という意味ではファム・ファタル的ではあるのですけれど、でも単純に「運命の女」という意味でのそれであるように感じる。もともと魅力的な人だと思われるのですけれど、でもそれをなお愛らしくそして理解不能に見せてくれる、うーたんの視点とその過去も。
ぱっと見は破天荒なようでいて、でもどこまでも真っ直ぐに愛を描いた、極上のラブストーリーでした。面白かったです! 大好き!