過去
振り返ってみると過去はもうそこにいなかった
私が知ろうとしなかったことは
私に語る権利のないことだった
振り返ると私が連なって倒れていた
私は自らを捨てながら進み
私のことを忘れながら生きている
私の前には未来などない
この瞬間にも私はこの世界からこぼれ落ちて
私であった私になっていく
振り返ったままの姿で考えている
私が何者かになろうとする時は
私自身を殺したい時なのだ
けれども私は私の過去の姿が
どうしようもなく愛おしい
失われた私を真似ながら
私は今日も振り返っている
【詩集】ノートの遺した傷 清水らくは @shimizurakuha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます