待ちぼうけの一日

アオヤ

待ちぼうけの先での出合い

「翔わるい!今日行けなくなった。」


「えっ?悟またかよ?俺、もうファミレス来てるぜ!」


「すまん!今度、埋め合わせするから!」


チェ! すぐ携帯切りやがった。


「チーズハンバーグセットになります。」

・・・しゃ〜ないヤケ食いだ。


アレ? なんで、店内に猫が居るんだろう?

額に秘密結社のマークみたいなの付けてるけど・・・

店のマスコットとか?

オイオイこっち来た!

ハンバーグ欲しいのか?

しゃ〜ない少しだけだそ。

なんかヘビみたいに丸呑みしなかったか?


アレどっかいっちゃた?

っていつの間にか俺の肩の上に・・・

何だよ?俺のスマホ触るなよ!

エッ?!何か文字が打ってある。

“オレハカセイカラキタルシーダヨロシクナ”

・・・猫だろ?猫だって言ってくれ!いや、普通にニャ〜でいいから。

“メシノオレイシテヤル”

何?

“ケイバサイトヒライテミロ”

はい?

目が怖い!マジか?分かりましたよ。

これでいいですか?

ちょ…チョト勝手に馬券買わないで!

こんな大穴、百万馬券来るはずないでしょ!?

あっ!発走しちゃた!

いったいいくら買ったんですか?

って一万円?

俺の通帳残高いくら有ると思ってるんですか?

友達にはドタキャンくらうし、猫にはカツアゲされるし、あ〜最悪な日だ。

アレ? ゴール前、穴馬が来てる。

まさか・・・俺、的中してる?

“ハンバーグオレノブンツイカシロ”

勿論です。ルシー様。

「ルシー様はもしかして、なんでもできるんですか?」

“アアオレハナンデモデキルゾ”

「かわいい女の子とかココに呼ぶ事は可能ですか?」

“チョトマッテロ”


「キャッ!ごめんなさい。ぶつけちゃって・・・ 大丈夫ですか?」


「大丈夫です。気にしないでください。」


「あら〜! かわいらしい猫ですね。名前はなんていうんですか?」


「ええ、ルシー様といいます。火星人です。」


「火星人ですか?ふふふ、面白いですね。」


その時、盲導犬を連れた老夫婦が店内に入って来た。

“マズイ、テキタイシテルキンセイジンガキヤガッタ”

“アトハウマクヤレヨジャアナ”


「えっ?猫がスマホ操作してるところ、初めて観ました。」


猫は俺の肩から跳び下りると、盲導犬にシーッと威嚇した。

そして、店の外に出ていった。


俺は店に残され呆然としていた。

これは夢だったのか?

馬券は本当に当たっていたのか?

でも、目の前のかわいい女の子に見つめらると・・・

俺はオドオドするばかりだった。





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待ちぼうけの一日 アオヤ @aoyashou

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