第34話
お話の区切りとして、今回が第一部最終話になります。
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今日が7日目になった。この砂浜ともお別れだな。そんな気持ちで朝日を見ている。すると横からメリスリリアからのツッコミが入る。
「ユーイチ。清々してしているけど、2人の神様を廃人寸前まで追いやってるんだからね。」
今日は白い水着で、清楚で目の保養になる。最近やっとまともにメリスリリア様を見る事が出来る様になった。ゴージャス美人であるが、話すと案外話しやすく、拷問(話し合い)の資料として取り寄せた色々な雑誌の中でちょっとエッチな雑誌を雄一が寝ている時に顔を赤くしながら片目を瞑りつつ読んでいる姿を度々見かけたのがギャップが激しくて可愛かった。
とりあえず気が付かないフリをして寝る事にしたが。
「そんな、廃人だなんて。俺は話し合いをごうもんしていただけだ。まぁ内容は動画サイトや映画の知識でやったが、怖い世界なんだな。地球って。
「2人には反省する良いきっかけになっただろう。ユーイチ!感謝するぞ!昔のようにリエラが抱きついてくるようになったからな。最近は『筋肉達磨!』と口が悪く、近づくのも嫌がる程に酷くてな。」
タナティウス。それは俺に怯えて隠れているだけです。言わないけど。
ちなみにクリュメシェを殴りかかった一件でタナティウスとは友情が生まれた。あの後にタメ口もOKとの話しが出たので、それ以来タメ口で話している。
クリュメシェとの拷問(話し合い)1日目の時点で、リエラに暴言を吐き続けていたので、リエラも少し目が覚めたようだ。
そして2日目。クリュメシェの叫び声を聞くと、リエラはその声に怯えて、震え始めてると兄に抱き付く様になった。
そこから段々と拷問(話し合い)をステップアップしていき、クリュメシェは何か話そうとしていたが、3日目は話しを聞かずにスキンシップだけ増やしてみた。軽い仕返しである。
メンソールを身体中に塗りたくり、ミミズが大量に入った風呂に浸けただけである。
そして4日目の朝。クリュメシェは屍のような反応だったので、洗浄してヒールをかけて貰い放置した。そしてユーイチはこう伝える。
「さて、ちゃんと俺が納得する理由を話して、ちゃんと謝罪して反省するかい?しないなら、新しいメニューを追加して初めから楽しもうか。」
うん。良く歌ってくれた(喋ってくれた)。俺達を戻す事が出来ない。時間とか正確でないと戻せないと。それに、移動させた時に地球に居た大村雄一の存在した痕跡も消えているらしい。世界の修正力?だか働くとの事。
俺を選んだ理由は、『偶然目に入ったから。』らしい。俺はクリュメシェの髪を掴むと、こう伝える。
「次に似たような事をしたら。わかってるよな?俺はお前を殴れるんだからな?幸い体力は無限にあるみたいだし、ずっと続けられるからな。」
雄一はにこやかに笑いながら伝える。
「ちゃんとお前の為に。メモ帳1冊分の話し合いの方法を書いておく。今回ので6ページだ。あとメモ帳には何枚ページがあるかな?使われない事を祈っておくよ。ちなみに俺への損害賠償や慰謝料は別だからな。」
そこで完全に心が折れたようだ。その後は、俺への賠償やらをこちらの主神様と話し合う事になり、約束の1週間になるまで、ノンビリと過ごす事にした。心が荒み過ぎているし、リフレッシュしたかったので、メリスリリア様に相談して許可を貰った。
そして今日で最初に約束した7日目になった。仕返しもしたし、帰れないならしょうがない。この世界で幸せに生きてやる。それなりの賠償請求は貰うがな。
タナティウスはユーイチに向かい、笑顔で話しながら筋肉を見せつける。
「さて、ユーイチ。お前達の望みはなんだ?主神様に確認したが、ユーイチの願いを叶えられるなら俺達が叶える事になった。それが今回の神からの謝罪になる。」
「マモリちゃん。ナノ君。お願い事とかある?地球やマモリちゃんの世界にも帰れないみたいだし、今後もここで仲良く暮らす感じだと思うんだけど、付き合ってくれる?」
メリスリリアに渡したスマホから、マモリちゃんの音声が聞こえる。
『もちろんです。ユーイチさん。私の願いは2つ。色々な規制の入っているプログラムだと不便なので、解除してください。』
それに、おずおずとリエラが手を挙げながら答える。
「私がしたのは、ユーイチを上位者として任命して融合しただけ。彼を生かしておく方法が融合しか見つからなかったから。
制限がかかっているとしたら、ユーイチの無意識にかけた制限だと思う。」
上位者って俺だったの?知らないぞ?と思うユーイチ。それに納得したようなマモリちゃんの返事が返ってくる。
『無意識の制限ですか。確かに広範囲殲滅プログラム、ナノマシンの無制限増殖はユーイチさんの望む方法ではありませんね。
次の願いです。私にも肉体をください。食事を自分で食べてみたいのです。』
「それなら誰かと融合すれば早いけど、それだと同じ目に合わせてしまう人が出るから、1から作ります。デザインに関して相談に乗れるんだけど、長くなるから、向こうで話しましょう。」
リエラがスマホを受け取ると、少し離れて話し始めた。
《僕も。お願い。いい。?》
「ナノ君も願いがあるってさ。」
《僕も。肉体。欲しい。みんなと。一緒に。テーブル。で。食べたい。》
ナノ君はやっぱり可愛いな。と思いつつ言葉を伝える。
「どんな人になりたい?」
《僕。子供。なりたい。ユーイチ。子供。好き。周り。子供。多い。》
「ナノ君も肉体を希望していて、可愛らしい子供になりたいそうだ。俺に似た髪や肌の特徴で、親子みたいに見えるのもいいな。ナノ君。」
《それ。名案。》
「と言う事でよろしくお願いします。ウォル君の分は代弁するぞ?ミリィちゃんとレオン君の幸せだ。」
調べてもらったが、ウォル君の魂はもう居ないらしい。だけど、気持ちは残ってる。
「では、神からの祝福でどうだ?昔から、子供達に与えているが、祝福を受けた者は怪我をせず、寿命を全う出来ているぞ?」
「それで頼む。俺はそうだな。叶えられるか判らないから、何個か言うぞ?地球の物資をナノ君で作れるようにして貰いたい。そして、魔法が使えるようになりたい。異次元倉庫みたいなヤツだな。
この町だけでも、色々な所でガキンチョ共が飢えて死んでたり、盗みをしている。ここの教会も理由は知らないが、子供を追い出してるらしい。
金や物資がないなら助けられないのも仕方がない。だけど、不正したりそんな理由で死ぬのを見るのは嫌だから、なんとかして欲しい。」
残念そうにメリスリリアは伝える。
「ユーイチ。残念な事から言うぞ?融合の基本ベースが地球人であるユーイチ。そのサポートとしてマモリちゃん。最後に言語知識を入れる為だけに選ばれたのがウォルの肉体だ。
お前のスペックでは、魔法が使えたとしても、小指の先程度しか使えない。機械面が多すぎて魔法は無理なんだ。」
「そうか。まぁマモリちゃん達がいなかったら生きていけない所だったし、それは諦めるよ。」
「そして地球の物資に関しても、科学技術がハイスペックすぎて渡す事が出来ない。拷問の知識でさえ、この世界では発達していないんだ。それは我々が見守って力を貸しているせいもあるんだがな。
そして何より、主神は緩やかな進化を望んでいらっしゃる。
町の子供達の環境については私が約束しよう。子供の保護は種の繁栄に対して大切な事だ。私も定期的に観察するので、不正は無くなるであろう。」
マジか。パワーアップは全滅か。いや、まだだ!終わらせぬぞ!!と思うユーイチ。
「それじゃ地球の物資を食料品。調理本。キャンプ道具に限定したらどうだ?大きいテントも欲しいと思っていたんだよ。」
「それなら可能だ。今、ナノ君に追加した。」
ついでに聞いておくか。
「あと、聞きたいんだが、俺やマモリちゃん。ナノ君の進化の理由とか方法ってなんですか?詳しく分からないんです。」
タナティウスは尋ねる。
「さぁ?進化なんて生き物は沢山するが、お前達はイレギュラーな存在だから判らないぞ?進化した内容を言ってみな。」
「えー。マモリちゃんの味覚が変わって、味が人の様に分かるようになった。嗅覚も同様。美味しそうとか、予感がするって言ってたのもあるな。
ナノ君も同様で、話しがスムーズになったりしている。
俺は相手に怒っていて、相手を殺してやろうかと思ったら、気持ちが機械に近くなった。冷徹や冷酷な感じだな。」
すると、タナティウスは笑いながら言った。
「そんなの簡単じゃねぇか。そりゃ『強く願って』進化したんだよ。生物だってそうさ。必要に迫られて進化する。その現状を抜け出そうと頑張って進化するのさ。
ユーイチ。お前はそこまで頑張って魔法を使おう。とか、進化しようと考えたか?」
ユーイチは考える。...無いな。普通に暮らしたい。マモリちゃん。ナノ君が居てくれて、食べ物も寝る場所も今は家族もいる。求める物は無いな。求めるのは新しい美味しい食べ物くらいだ!
「考えてないですね。納得しました。それなら確かに納得だ。」
タナティウスは後ろの2人を指差して伝える。
「こいつらには主神から罰が降る。それで今回の件は手打ちになる。まぁここまで神様がトラブルを起こす方が珍しいんだがな。」
と笑いながら言う。神様のトラブルはヤバいんだって。ちっぽけな人間としては、そのトラブルが人生を左右するんだし。
「2人の身体については、出来たら自分で分かるだろう。それじゃ、これで解散だな。ユーイチ。大変だろうが、会えて良かったぜ。」
タナティウスと硬く握手をする。
「俺も楽しかったよ。神様に言うのも悪いが、男同士のバカな関係みたいでさ。ウチに遊びに来れたら、来てくれよ?
俺は皆がどこに住んでるか知らないからさ。魔法でワープ!とか瞬間移動は使えないし。」
メリスリリアは笑いながら話しかける。
「ユーイチ。私には誘ってくれないのか?熱い夜を過ごしていたと言うのに。」
ユーイチは笑いながら答える。
「それはメリスリリアが1人で本を読んでいたから熱かったんだろ?知ってるぞ?」
笑顔でからかってきたメリスリリアを、逆にからかう雄一。そしてその事を言われたメリスリリアは顔を真っ赤にさせてパクパクと口を開いている。ユーイチは笑いながら答える。
「メリスリリアと話すのは楽しかったし、また一緒に食事して話したいから、町に来た時は寄らせて貰うよ。
メリスリリアも遊びに来れるなら、是非とも俺の家にも来てくれ。」
そうだ。相談もするかな。とユーイチは2人に尋ねる。
「所で今回の件で変な人間が来そうで困るんだよな。神と長く話してた人間って事で、色々と言われそうだし。何か方法はないか?俺を騙すな。利用するな。とか知らしめるような良い方法とか。」
まだ顔の赤いメリスリリアが答える。
「ああ。それなら良い方法があるぞ。お前だから特別だ。」
ニヤリと笑いながら顔を赤くしながら近づくメリスリリア。そしてエメラルドの瞳が近づいてきて、気がつくと、俺の唇に柔らかい感触と甘い香りが残る。
「女神の祝福だ。どうした?顔が赤いぞ?」
顔の赤い女神は笑っている。やられた。頭が真っ白になっている。予想外の仕返しだ。俺も多分似たような顔色をしてるんだろう。頭が真っ白で俺は何か言った気がするが、何を口走ったのだろうか?メリスリリアがトマトの様に顔を真っ赤にさせて、コクリと頷いた。
タナティウスに何か言われたが耳に入らなかった。ヤバい!ちゃんとしなくては。
「それじゃ、また会える時を楽しみにしてるから。」
クリュメシェ以外はみんな笑って手を振ってくれている。後でマモリちゃんに詳しく聞いておこう。タナティウスは和やかな笑みを浮かべ、雄一に伝える。
「この1週間で1番驚いたが、めでたい事だ。またな・・・。」
手を振って門へと歩く。
(ユーイチさん。ちゃんと意識は戻られましたか?)
(あぁ。大丈夫。戻ったよ。まさかあんな美人にキスされると思わなくて、嬉しくて意識が飛んでた。)
(やはり美人だと嬉しいのですね。)
(まぁ美人の方が嬉しいけど、なんで?)
《僕。美人。なれる。?。》
(そうだな。子供だと可愛いになるかな?)
《僕。可愛い。なる。》
門を出ると、海岸の風景から西洋風な街並みに戻る。そして目の前には前より多くの人達が集まっていた。そして後ろの門が閉まると、門が黄金に輝き出し、空へ一条の光の柱となって、リエラ。メリスリリア。タナティウスの巨大な姿になる。
《混沌の神 リエラ クロウシュースの名の下に。ユーイチを守護し、他の束縛を禁ずる。》
《裁定上位神 タナティウス クロウシュースの名の下に。ユーイチを守護し、他の束縛を禁ずる》
《契約の神 メリスリリア 大村(おおむら)の名の下に。ユーイチを守護し、他の束縛を禁ずる。女神の祝福を与えし者である事を宣言する》
そして男の顔が出てきた。赤黒っぽい髪のイケメンである。そして首には金のアザ。アイツは誰だ?
(ユーイチさんの顔が大きく出ましたので、これで神様達からのお墨付きを貰いましたね。)
《ユーイチ。大きい。》
(何言ってるの?2人とも。あの姿は俺じゃないでしょ?)
(気が付いていなかったのですか?私が融合した際には、あの姿でしたが。)
《ユーイチ。変。》
(は?はぁ?...あ。あ!!ウォル君とも融合してるから顔が変わってるのか!そういえば出てた腹が引っ込んでた。メガネもかけてないぞ?)
(最初に相談していた、『自分では気が付きにくい。』ってやつか!)
(そうですね。鏡を見る事がない生活。それの弊害でしたね。ですが、これで変な輩に囲まれる事もなく過ごせますよ。)
(全員に顔バレしてるじゃないか!!)
そんなパニックを起こしつつ、周りを見渡すと、教会前に居る全員が、俺の顔を見てる。
(ミリィちゃん達も居ましたよ。3時方向です。)
子供達が、ゴロスやバルに肩車されて、『おじさん!おかえりー!』と手を振っている。誰も話してない無音の為、子供達の声が響いた。
ユーイチが子供達に近寄ろうとすると、人が左右に別れて道を作り、土下座して祈り始めた。
(ヤバい。どうしよう?マモリちゃん。ナノ君。)
(道も開きました。お昼を食べにいきましょう)
相変わらずマイペースなマモリちゃんである。
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お付き合い頂き、本当にありがとうございます。マモリちゃんの締めは、ご飯を食べに行きましょう。で締めようと思っていたので、ここまで書けて大満足です。
初投稿していると、ハートやらブックマークって「あ、見てくれているんだなぁ。」と言う目印になるので、追加されるだけで嬉しかったりします。
そして、マモリちゃん。ナノ君。の人間スタイルは当初から考えていたので、また2章を楽しくかけそうなのが嬉しいです。
そして読んでくださった方でユーイチは一度も鏡を見てない事に気が付いてるかな?と思いつつ描いていたのは楽しい思い出です(笑)
ミンチで転移させられて、荷物と合成されているので、ユーイチの姿を人に戻さず、マモリちゃんと融合しました。なので、ユーイチの姿形のデータはマモリちゃんには有りませんでした。なので、ウォル君(遺体)の姿をベースに転移しており、ユーイチは今気がつきました(笑)
中には「なんでオジサンなの?」とコメントをくれた方がいたので、ドキッとしました(笑)その方が最後まで読んでくれていたら嬉しいです(笑)
少し時間を置いてから、次を投稿しますので、良ければ楽しんでいただけたら嬉しいです。
チャールスJより。
人類抹殺用AIですが、ファンタジー世界に捨てられました。人を滅ぼしてはダメ?では大人しく甘物でも食べています。 白雨〜シロウ〜 @Ninjyaneko
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