最初から最後まで、どこまでも救いの見えないお話

 ほぼ奴隷のような生活を送る少年男娼、シャルナンとアリストフの壮絶な日常、そしてその友情(あるいは恋)の行く末の物語。
 悲壮で陰惨な恋のお話です。タグにもあるとおり「ショタ」、すなわち幼い少年同士の、淡い恋を描いた作品。ジャンルとしては異世界ファンタジーですが、特に魔法やモンスターなどの非現実的要素のない、単純に「ここではないどこか別の世界」という意味でのファンタジーです。
 とにかく状況の残酷さがすごい。奴隷同然に飼われながら、金持ちの成人男性に身をひさぐ、という、この状況そのものがもう地獄なのですけれど。なおしんどいのがその先というか、どう考えても彼らが救われる気がしないところ。
 作中の何か不穏な出来事や、あるいは彼ら自身の抱く希望的観測など、それらのいずれもが出てきた瞬間もう「まずろくなことにならない」と察せられてしまうのが強烈でした。状況そのもののどん詰まりっぷりと、程よく先を予感させる描写。
 中でも印象深いのは、やはり結末です。ネタバレになるので具体的には触れませんが、描かれたその絵面のこう、あまりにもあんまりなあんまりさ。きっと何も悪くないはずの少年たちの悲劇を描いた、ずしりと胃にくる作品でした。