第40話 vs強欲の罪
「ははっ、こいつがいれば里を統べる事も、人間どもを滅ぼすことも、思うがままだ、わざわざ奴らを里に招き入れた苦労があったものだ!」
「あ、あんたそんなことのために息子と、他所の子供をこんな目に合わせたのか!?!!?!」
「ふん、息子をどうしようが、親の勝手だろう、家庭の事情に踏み込んでくる貴様に言われたくはない………さぁ、お前の封印を解いてやったのは儂だ、これからは儂のいうこと聞く義務がお前にはある、最初の命令だ、あいつらを殺せ!!」
「………■■◆●■◆◾️」
「クッソーーー、問答無用ってか!」
身構える俺とイヴ、肌は黒く、頭には鬼のようなツノが生えてはいるが、何処からどう見てもイヴそっくりの悪魔は奇声を発している。
だが、いつまで経っても相手は動かない………
「?、どうした!早くいぅーーー!?!!?」
「●■◆●■◆●■◆◾️◾️◾️◾️」
「……やはり無理だったか………」
「「なーー!?」」
焦れた風狸は怒鳴り散らそうとするもマモンに口を鷲掴みにされ、喋れなくなる、もう一人は予想済みというふうに一言呟くといつのまにか消えていた、だが俺とイヴにはそんなこと気にしてる余裕は無かった、俺たち二人は悪魔の行動に呆気に取られ驚愕に目を剥く。
「●■■◆◾️ーーー、あー、あーー、ぅうーー、お、おはようございます?」
何度か奇声を発した後に、風狸を手放した手で喉に声を当て、徐々に理解できる言葉を発する、風狸は地に転がる。
「全く、あのジジィ、大昔の言語しか持ってなかったのか、まるで会話できないじゃん、まじ使えねぇ」
「ぁーー!!、ぇーー、ぉーーリィ、ューーあい!!?!」
「一体何が…….」
マモンが理解できる言葉を喋りだすと、今度は風狸の様子が変わった、まるで自分が今までどうやって発音をしていたのか忘れたように、短い呻き声を漏らしている。
「それにしても…………お前、誰に命令してんの?」
マモンは呟くと風狸の首根っこを掴み、再度持ち上げる、すると風狸の鍛え上げた筋肉はどんどん萎んでいき、服もボロボロと崩れていく、反対にマモンの身体に魔力が漲り、ボロ雑巾同然の服はまともになっていく。
「………ふぅ、そこそこまともな格好になったな」
「な、なんだありゃ、一体何がーー」
「………多分だけど………強欲の名の通り………様々な物を………奪ってるんじゃない…………かな……」
「………言語も奪われたってか、そんなのありかよ……」
イヴと俺は相手能力を分析する、すると目の前の悪魔はこちらに目線を注ぐ。
「お?、おーおー、さっきのおっさんクソ五月蝿かったけど、意外と気が効くな………まだまだ俺の欲を満たすには足りねぇ、丁度良い獲物が2匹もいやがる」
そう言うや否や、俺達を捕食者はーーいや、強奪者は品定めをしてくる。
その視線に背筋に悪寒が走り、フリーズしかけるも気合で意識を保つ。
「イヴ、わかってると思うがーーー」
「………接近戦は不利………でしょ?」
「へへ、さっすがイヴ!」
『我焼き貫く子竜の火種弾!
『
俺とイヴは相手の側面に回り込み、左右同時に攻撃を打ち込む。
(さぁ、どう動く!!)
しかし相手は動かず、棒立ちを決め込む。
(ッッーー動かないのか!!?)
着弾の瞬間、射線上に片手ずつ滑り込ませる。
(なんのつもり……ッッーー?!!?)
俺達の攻撃は手に当たった瞬間に消えた、相殺されたわけでも、霧散したわけでもなく、ほんとに一瞬のうちに消えた。
「「………一体………何が起こった?」」
「不思議?、こういうコ・ト」
悪魔が呟くや否や、右手に火の玉、左手に砲弾が現れる。
「「なっーーー?!」」
「そぅら、返してやるよ!!!!」
砲弾はイヴにぶん投げ、火の玉は俺の方にぶつけてきた、予想外すぎる攻撃に俺達は躱せず、直撃をもらい吹っ飛ばされる。
「「ッッッーーーガハッーー」」
(………無機物だろうが自然現象だろうが、触れれば自分の物にできるってわけか)
俺達は祭壇の壁に叩きつけられる、激しく咽せながらも体勢を立て直す。
「んじゃまぁ、ドラゴンの方から剥ぎ取りますか」
「ッッーーー!!!?」
ーー瞬間、立ち上がった俺の前に肉薄する悪魔。
『我が両拳に火種の殴打!!
距離を離すのは無理だと判断し、即座に迎撃へとシフト、今の俺に放てる最大火力のスキルを叩き込む、顔面と腹への同時攻撃をそう簡単に防げるはずがない……
「なんだ?マッサージか?」
「クソッタレが!!」
悪魔は手のひらで顔面への攻撃を止めつつ、膝で腹への攻撃も防ぐ、初見だというのに全て塞がれた。
攻撃を完璧に対処されて悪態もつくも、なんとなく予想していた、そのまま俺は足払いを仕掛ける。
「よっと」
(ーーこれも当たらないのか!!)
悪魔はジャンプして躱す。
「じゃあ、文無しにしてやるよーー」
「ッッーーー!!?」
今度はこっちの番と言わんばかりに悪魔が囁くや否や、俺の全身に絶対零度の悪寒が走り、自身の死を直感した。
『
『我紡ぐ子竜の斧!!!
『
俺と悪魔の攻防の隙に詠唱を済ませ、一瞬の内に接近、
「へぇ、そこの蜥蜴よりいい拳持ってんじゃん…」
(ッッーー俺の
余裕の表情を崩さず、イヴの攻撃を受け止める悪魔、その様子に驚愕するも徐々に絶望へと変わりかける。
「だけどーーー」
『
悪魔の喋りを否定するかのように砲弾を接射、爆音が鳴り響く。
「…………だけどまだぬるい」
「ッッッーーー!!」
砲弾をぶち込まれてもなお、
「まぁ、先がいいならお前から奪ってやるよ」
悪魔はそのままイヴの腕を掴む、何をしようというのか、いや考えるまでも無く明白だ、言っているではないか奪うと、対象まではわからないがイヴから何か確実に盗られる。
「イヴ離れろ!!!」
「………離せ……」
「逃すわけねぇだろ?」
イヴは逃げようと空いてる拳で殴りかかるが、難なく防御される、悪魔は飄々と言うや否や、手に力を込めイヴの腕を締め上げた。
ーーー刹那、空間が割れるかのような音が辺りに撒き散らされ、俺達と悪魔は同極の磁石の如く反発し合い吹っ飛ぶ。
「あぁん?」
「「ッッーーーー」」
俺達が何度も鳴らした苦痛の声を上げるのと同時に、この戦いで初めて相手の悪魔が怪訝そうに声を発する。
勇者パーティーを追放されたドラゴンテイマーは鋼鉄最強美少女をテイムして被追放者や濡れ衣を着せられたり不遇な目に合っている人達を助ける〜ドラゴンテイマーってそういう事じゃねぇ〜 天倉彼方 @taroudati
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