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第1話

 ピンポーン。

 ガチャッ。

「こんにちはー! ウー○―イーツでーっす! ご注文の品届けに来ましたーっ!」

 玄関の扉を開くと同時に、元気で快活な声が僕の耳へと届く。

 ……あ、どうも。

「はい、こちら頼んだ商品で間違いないですか?」

 注文通りの商品であることを確認し、配達員の彼女からビニール袋を受け取る。

 渡す際に彼女の指が一瞬触れ、思わずドキッとしてしまい少し大げさな動作で手を引いた。

 僕のそんな挙動不審な動きを気に留めることなく、先と同じように明るい声で彼女は、

「温かいうちに食べてくださいね。これでもキミのために全速力で届けに来たんだから」

 台詞と同時にニコッとはにかんだ笑顔を見せる彼女。

 『キミ』という台詞に僕は胸が高鳴りそうになるが、あくまでお客さん、という意味なのだろうと心を諌める。

 ……どうもありがとう。

「いえいえー。それではまたのご注文をお待ちしてますね!」

 と、営業文句を言い残すと、次の配達があるのか、彼女は急ぎ足で去っていった。

 僕は彼女の後ろ姿が見えなくなるまで見送ってから部屋の中に入り、早速受け取ったラーメンをテーブルの上に広げる。

 彼女の言っていたようにまだラーメンは温かく湯気が立ち、麺も今入れたかのような状態だった。

 配達員の彼女の姿を思い浮かべると、いつもより少しだけ、そのラーメンが美味しく感じた。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「こんにちはー! ご注文の品持ってきましたー!」

 扉を開くと、いつもやってくる配達員の彼女の元気な声が届けられる。

「はーい、こちらご注文の品です!」

 ……はい。

 僕は注文の品を受け取る。

「いやー、最近暑くなってきましたのよねー。ここまで来るのに汗かいちゃいましたよー」

 と、パタパタと胸元の部分で服を仰ぐ彼女。

 僕は視線をそっとそらしつつ、最近よく会いますね、ともごもごと述べる。

 このところ、ウー○―イーツを頼むと、必ずと言っていいほど彼女が届けに来てくれており、他の配達員を僕は見ていなかった。

 僕の疑問に、彼女は手を動かすのと止めると、「そりゃそうですよー」当たり前のように台詞をつなげた。

「だって、キミが注文する時間やお店は大体いつも決まってるでしょ? それに合うように、わたしが配達受けてるんだから。キミに食事を届ける役目は、誰にも渡さないよ」

 ……は、はあ。

 つまりお得意さんとして認識されているということか、と僕は漫然とした理解にとどめる。

「では、失礼しますね! 今日もちゃんと食べるんだぞっ!」

 念押しするように僕に言ってから、彼女はパタパタと帰っていく。

 僕は扉を閉じてからも、しばらくぽーっと立ち尽くした後、部屋に戻って腰を下ろす。

 それから割り箸とおしぼりを取り出し、あれ? と、疑問符が頭に浮かぶ。

 どういうわけか、割り箸とおしぼりが二セット袋の中に入っている。

 一つはいつも見る無地の割り箸とおしぼりで、もう一つは、頼んだ牛丼店のロゴが入った割り箸とおしぼりだった。

 見慣れた割り箸とロゴ入りの割り箸。

 しばらく考えてから、はたと気づいた。

 いつも入ってる方の無地の割り箸とおしぼりは、どうやら配達員の彼女が入れておいてくれたもののようだった。

 この家には食器はおろか箸さえもないので、毎度毎度入っているそれに重宝していたのだが、あの彼女の気遣いの品だったようだ。

 パキッ、と僕は彼女が入れてくれた方の割り箸を割り、昼食にありつく。

 いつもと同じ味のはずの牛丼が、どういうわけか今日は一段と美味しく味わえた。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「どうもどうもー! 持ってきたよー!」

 扉を開くと同時に、配達員の彼女の一際明るい声が玄関に響き渡った。

 ……いつもどうも。

「いえいえー、こちらこそいつもどうも」

 言いながらお互いに頭を下げる二人。

 と、

 コツン。

「あたっ!」

 その拍子に二人の頭が当たった。

「いてててて…」

 あ、ごめんなさい。

 痛かったのはこちらもだが、頭をさする彼女に僕は謝罪の弁を述べる。

「なんのなんの、こっちこそごめんね。そっちは痛くなかった?」

 大丈夫……と言い返す前に彼女の手のひらが僕の頭に置かれる。

 さわさわ……。

 彼女の手のひらの感触が頭の上で広がる。うねるのような彼女の指に思うがままにされる。

「うーん…たんこぶにもなってないし、大丈夫そうだね」

 と、彼女の指が離れると、名残惜しさが心の中で起こるが、もちろん口には出さない。。

「はいっ、じゃあこれっ!」

 気を取り直し、紙の箱を持った彼女の手がこちらへと差し出された。

 ……あ、どう、も?

 僕はそのまま受け取ろうと手を伸ばしたが、視界に入ったものにその手が止まる。

 彼女に手にあるのは紙の箱と、パック入りの飲料。

 僕が注文したものではない小さなそれに、それは? と、疑問を飛ばすと彼女は、

「ああこれ? 豆乳だよ、豆乳。食事の時に一緒飲むと健康にいいんだって」

 パッケージに印刷されているそれは一目でわかるのだが、

「一緒に飲んで、ね? 普段あんまり外に出てない不健康な体なんだから、健康に気を遣わなくちゃダメだよ?」

 はい、と半ば押しつけるように紙の箱とパック飲料を渡す彼女。

「じゃあまったねー!」

 と、駆けるように彼女は去って行った。

 僕はそんな彼女の姿を目の裏に焼き付けつつ、戻って食事にありつく。

 …チュウチュウ。

 注文した熱々のピザよりも、彼女に渡された豆乳の方が、僕の舌に甘い食感を口の中に広げるのだった。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「はいはーい! おまたせー! 待ったー?」

 玄関先で配達員の彼女を出迎えると、目の前に花開くような笑みが広がる。

 毎度見るその笑顔に僕は心を癒されつつ、今日もご苦労様、と彼女ねぎらう。

「えへへ、ありがとうっ! キミにそう言われるのが一番うれしい♪」

 途端に満開の笑みへと早変わりする。

 好意の純度100%のそれに、僕は少々気恥ずかしくなって視線を落す。

 と、視線の先で、彼女の靴紐がほどけているの気が付いた。

 ……あの、それ。

 僕が指摘すると、「あ、ホントだ」彼女は前屈するように前かがみになりつつ靴紐を直す。

 思い切り前かがみになっているせいか、上着がズレ落ち、ズボンとの隙間からわずかに素肌がのぞていた。

「これで、よし…と。ありがとねっ! 転んでたらえらいことになってたよー」

 ……い、いえいえ。

 上体を起こす彼女から慌てて視線をそらす。

 そんな僕の行動に彼女は少しだけ不思議そうな表情したものの、すぐに切り替えて、

「それじゃあこれっ!」

 バックから取り出した袋を僕に差し出した。

「すぐそこで温め直しといたからすぐに食べてねっ! キミの家レンジないんだし、冷めたらおいしくなくなっちゃうからねっ!」

 うなずいて返事を返しつつ、どうしてレンジがないことを知っているのか、疑問の芽が生える。

 が、そんな疑問よりも、今日もこれで彼女とのやり取りも終わりか……と、郷愁の念にかられていると、

「そ・れ・か・ら~、これもっ!」

 彼女のもう片方の手から別のビニール袋が表れた。

 僕が注文したものはすでに手の中にある。

 なんだろう、と新たな疑問を生やしていると、

「これ、近くに新しくできたお店のフルーツサンドだよ。キミの好みに合うかと思って、途中で買ってきたんだ~♪」

 僕の顔の前にビニールが掲げられ、ぶらぶらと左右に揺れる。

 甘い香りが鼻腔をくすぐり、隙間からカラフルな色合いの果物が垣間見えた。

 よく他人から子供っぽいと言われる僕の好みにドンピシャのそれに、食欲が渦を巻いて湧き起こる。

 それならお金を…と、財布からお金を出そうとする僕に、

「いいっていいて、キミに食べてもらいたくて買ってきたんだから」

 はい、と僕の手にビニール袋が渡される。

「キミに美味しいものを届けるのがわたしの役目なの。だから君は、美味しい物を食べて笑顔になってくれればいいんだよ」

 口元を緩めながら、広大な海よりも寛大で優しい笑顔で述べる彼女。

 彼女の勢いに押されるまま、結局僕は逆再生するように財布をそのまましまうのだった。

 ―――バタン。

 彼女が帰った後、部屋に戻っていそいそと食事に取り掛かる。

 僕が注文したカツ丼は放っておき、彼女が持ってきたサンドイッチの包みを開き、口に運ぶ。

 果物の自然な甘さとホイップクリームのコラボレーションが口の中を駆け巡る。

 彼女と優しさと同じようなとろけるような甘さ。

 それは確かに、子供舌の僕にはたまらない味だった。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「はーい、今日もランチのお時間ですよー!」

 外の光が入ると同時に馴染みある声が届いた。

 親しみを覚えてきた声に胸中に湧き上がるものを感じつつ、僕は配達員の彼女と相見える。

「じゃーん! これが今日のキミのランチだよっ!」

 と、いつものように僕は受け取ろうとしたものの、彼女が差し出すそれを見て硬直する。

 彼女の手にあったのは、店名の入ったビニール袋でも、ロゴマークの入った紙袋でもなく、かわいらしい布に包まれた四角い物体だった。

 僕の注文したマ○クのハンバーガーは、とてもじゃないが入らない大きさのそれ。

 事態の把握ができずフリーズする僕に、

「もぉ~、あんな身体に悪いもの注文しちゃダメなんだぞ! だから、栄養た~っぷりのわたしの手作り弁当だよっ!」

 ニコニコと笑みを絶やすことない表情で彼女は僕にそのお弁当を掲げる。

 こちらが絶対に喜ぶという、絶対の、全身全霊な確信ある表情。

「栄養素もカロリーも計算ばっちりしてあるから大丈夫だよ。料理の腕も心配しないでね。キミのために、愛情と丹精をた~っぷり込めて腕によりをかけてきたんだからっ♪」

 スッ、と彼女の空いている方の腕が伸びてきて、人差し指が僕の口へと当てられる。

 唇に突然起こった柔らかな指の感触に、心中でざわめきが発生した。

 そっと彼女の指が離れるが、ざわめきはすぐに収まる気配がなかった。

「キミの好きな物いっぱいのお弁当作ってきたから、これで午後からも頑張ってね」

 そう言った彼女のお弁当を、結局僕は受け取った。

 彼女がルンルンとした足取りで帰った後、包んであるお弁当を慎重に、丁寧にテーブルの上に置く。

 行儀よく正座で居住まいを正しつつ、ゆっくりと結び目をほどき、開く。

 パカッ。

 ふたを開くと、見た目鮮やかなおかずが目に飛び込んでくる。

 ハンバーグや卵焼き、タコさんウインナーなど、僕が子供の時から好きだったおかずのラインナップが箱の中に広がっていた。

 僕ははやる気持ちを抑えつつ、ケースに入った箸を取り出し、いつもはしないいただきますを胸の前でしてから、大好物のおかずへと箸を伸ばす。

 ……………。

 もちろん、その味は言うまでもなかった。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「あ、ドア開けてくれてありがとう。じゃあお邪魔するねー」

 僕がドアを開くと同時、ごくごく当然の動作で配達員の彼女が玄関に入り、靴を脱いで部屋の中に上がる。

 一連の動作があまりにスムーズで、僕は一瞬で硬直し、彼女の行動を見守る他なかった。

 が、しかしすぐに行動の違和感に気付き彼女に声をかける。何をしているのか、と。

「んー? 何って、これからキミのお昼を作ろうって思ってね。それがどうかしたの?」

 自分は何も間違っていない、と当たり前のように断言する彼女に、咄嗟に言葉がつながらなかった。

 でもここには食材が…、と斜め上の理由を言うので僕の口は精一杯だった。

「それは大丈夫。ここに冷蔵庫ないの知ってるし、そこのスーパーで食材買ってきたから」

 ほら、と手に持った大きめのビニール袋を僕に示す彼女。

 だけど包丁やまな板とかの調理器具が…と、またしても明後日方向の理由しか僕の口からは出せなかった。

「大丈夫だいじょーぶ! それもわかってたから、こっちでちゃ~んと用意してあるから♪」

 がさごそと、配達用のバッグの中から次々と調理器具を取り出していく彼女。調理器具だけでなく、箸や皿といった食器類も揃い踏みだった。

 彼女の用意の良さに僕は関心すら覚えてしまい、続く言葉を選べないでいると、

「じゃあすぐに作るから、台所借りるね~」

 言いつつ、軽やかな足取りで奥に向かう彼女。

 彼女の思いもよらない行動に頭がエラーを繰り返す一方で、僕は彼女の手作り弁当の光景を思い出していた。

 注文したものの代わりに持ってきてくれた、彼女の手作り弁当。

 その味を思い出し、思わず喉が鳴る。

 また、あの味が食べられるのなら…

 僕は、それ以上考えるのをやめる。

 彼女を追うようにキッチンへと入ると同時、「あー!」と彼女の驚きとも悲鳴ともいえない声が上がる。

「こーら。もうダメだよ~、こんなものばっかり食べてたら」

 彼女が見つけたのは、流しに置かれたカップ麺の空き容器。それを手に持って見せつけるように掲げる。

「こういうのはキミの体を悪くするものしか入ってないんだから、食べちゃダメだよ」

 ………ポカ。

 グーにした彼女のこぶしが僕の頭に当たる。言葉は非難するそれだが、当たった手は子供叱るような優しいそれ。

「一番大事にしなくちゃなのはキミの体なんだよ。何をおいても大切なのはキミなの。だから体を悪くするようなものは全部ぜ~んぶいらないの。これからは、こういうのは食べちゃダメだからねっ!」

 わかった? と、優しく子供に言い聞かせるように彼女は言った。

 自分以外に対する人間への、愛情と優しさが零れ落ちるくらい溢れた台詞。

 僕は彼女の言うとおり、ゆっくりとうなずく。

「ん、よしよ~し。いい子いい子。………じゃあそんないい子のために、これからちゃっちゃとごはん作るからね。少しだけ待っててね♪」

 それから彼女は僕の部屋のキッチンにて、手慣れた手際で料理に取り掛かるのだった。

 ―――数十分後に彼女が作り上げたナポリタンは、これまで食べたことのない程、美味しい味だった。




 ピンポーン。

 ガチャッ。

「あ、こんちわーッス。ク○ネコヤマトッス。お荷物のお届でーッス。サインかハンコお願いしまーッス」

 差し出された伝票にサインすると、「あざしたーッス」と言い残し、宅配業者のドライバーは足早に去っていった。

 両手で抱えるような荷物を手に、僕は部屋の中に戻る。

「あれ? 誰だったの?」

 キッチンから首だけ振り向いて配達員の彼女が問うてくる。

 僕は答える代わりに手の中の荷物を掲げて示した。

「あ、やっと来たんだそれ。もぉ、待ちかねたよ~」

 料理の手を止め僕から荷物を受け取り、早速封を開くと、中から抱えるようにして調理家電を取り出す。

 オーブン機能も備わった最新型のレンジ。

「これがあればもっとも~っと、いろんな料理ができるからねっ。本当に待ちかねたよ~」

 すりすりと、心底嬉しそうにレンジをさする彼女。

 そんな彼女のために、通販で購入した甲斐があったというものだった。

「じゃあさっそくこれ使っちゃおうかな~。もう少しでできるから、もうちょっとだけ待っててね! 食後のデザートも、ちゃ~んと用意してあるからねっ!」

 そう言って再び料理に戻る彼女の後姿を横目に、僕は部屋の中で腰を下ろす。

 彼女の料理ができあがるのを待ちながら、ふと周りを見渡すと、目につくのは彼女の服や化粧品、歯ブラシやシャンプーなど洗面用品の数々。

 彼女の私物が数多くある僕の部屋の光景。

 配達員である彼女は、近頃この部屋に出入り入ることが多くなっていた。

 デリバリーの配達員としてこの部屋で料理を作るだけでなく、その他の時間も出入りするようになった彼女。

 あれ…? と僕は疑問が浮かんだ。

 恋人でもなんでもない彼女が、どうしてこう頻繁に部屋に出入りするようになったんだろう。

 あまつさえ私物を置き、あたかもここの住人のようにふるまっている彼女。

 この部屋でまったり過ごす時間があったり、時には寝泊りする時もあったり。

 それが当たり前のように行う彼女の行動を、それが当たり前のように受け入れている僕。

 腕を組んで考え込むさなか、キッチンの方からいい匂いが嗅覚を刺激する。

 その匂いを堪能すると、すぐさま頭の中の疑問が霧のように霧散していく。

「できたよー!」

 と、駆けるようにして彼女が大きなお皿を手に、かわいい犬を愛着する飼い主のように僕の前へとやってくる。

「おまたせー!」

 そう言いながらトンとテーブルに置いたのは、ご飯と黄色いルーが山盛りに盛られたカレーライス。端の方には福神漬けがちょこんと添えられていた。

 じゅる、と思わず涎が垂れる。

「もぅ、そんなにお腹空いてたの? しょうがないなぁ~」

 エサを前にした犬のような僕の挙動に、彼女は手で待てをするようにけん制しつつ、スプーンを手に取ってカレーをすくう。

「はい、あ~ん♪」

 彼女の台詞に従い、僕は大きく口を開く。

「これからもキミの食事はぜんぶぜ~んぶ、わたしが届けてあげるね♪

 キミの好きな物も、いつも食べてるものも、たまに食べる贅沢なものも。

 美味しいものも、口に入れるものも、味わうものも、噛むものも、飲むものも、吸うものも、舐めるものも、噛み続けるものも、すするものも、ぜんぶぜ~んぶ、ね。

 わたしが届ける以外のものは食べちゃダメなんだからねっ♪ わたしの届けるものだけが、キミが食べていいものなんだよっ♪

 その他のものは食べ物でもなんでもないなんだよっ♪ こっそり勝手に食べたりしたら怒っちゃうぞっ♪

 わたしが届けたものを食べて、元気百倍になって、やる気モリモリになって、バリバリ頑張るんだぞっ♪」

 パクッ。

 口に入れた途端、カレーの香り高い味が口内いっぱいに広まる。

 カレーの味も美味しいが、それ以上に彼女の愛情がスパイスとなって甘口のカレーがより甘く感じられた。

 そのカレーは世界一、いや宇宙一、いや銀河一、美味しいカレーだった。

 それ以外ない美味しさ。もうそれ以外のものが食べられなくなるくらい、至福と幸福に満ち溢れる味だった。

 とっても美味しい、そう伝えると、配達員の彼女は、これ以上ない飛び切りの笑顔を見せ、次の一口を僕の口へと運ぶのだった。

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