あとがき

 最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。

「黒猫と呼ばれた狩人(イェーガー)~三十五歳独身男が相棒の黒猫とがんばります~」はこれをもって終わります。


 本作品は「小説家になろう」で四年半ほど前に公開した作品です。

 あちらのあとがきにも書いておりますが、本作品は「エンデラント記シリーズ」の世界観を固定するために執筆しました。


 具体的には戦記物である「(仮称)グライフトゥルム戦記」で使う予定の魔導、戦闘、間者などの舞台装置をどうするかを確認するために書きました。

 「グライフトゥルム戦記」は本格的な戦記物で、主要なキャラクターたちが活躍する群像劇を目指しています。もちろん、今回のようなガンダムやスターウォーズのパロディはありませんし、第三帝国の武器も出てきません(笑)。


 舞台はレオたちが最後に向かったグライフトゥルム王国。更に大陸最強のゾルダート帝国や狂信者の国レヒト法国などになります。

 こちらは陰謀と戦争がメインであるため、最近の流行りからすると、あまりうけないだろうなと思っています。


 それでも本格ファンタジー戦記をどうしても書いてみたい。それも世界観のぶれないものを。そんな思いから本作品は生まれました。

 その割には「グライフトゥルム戦記」はまだ書かれていませんが(笑)。


 そんな事情もあり、本作品は新しい試みをしています。

 戦記物への影響を考えて、固有名詞や年代をあえてぼかした書き方にしました。


 話は変わりますが、私の作品の特徴として、時間と登場人物の固有名詞は非常に細かく設定しています。ミリタリーSFであるクリフエッジシリーズは下手をすると秒単位の時間ですし、キャラもセリフがないのにフルネーム、性格、容姿まで決めていたりするのです。


 ですが、本作品では名前が出てきた人物は主人公レオンハルトとヒロインのラウラ、主要キャラのベル、悪役ジクストゥスとアイン以外では最初に出てきたフランクとゲオルグ、商人のエイセルくらいです(アインは数字の“一”という意味のコードネームなので名前と言っていいのか……)。


 更にフルネームが決まっているのは主人公とヒロインだけという異常さです。

 また、日付が一切出てきません。これによって季節の描写もないのです。

 このやり方は読者の方も感情移入がしにくかったと思います。ですが、書く方にとっても縛りが大きく思った以上に難しかったというのが実感です。まあ、いい経験にはなったと思いますが(笑)。


 もう一つの特徴として、本作品には今までの作品のような強く訴えたいメッセージがありません。

 かといって娯楽作品というほど面白くもなく、中途半端な感じは否めませんが。


 ですが、私としては結構気に入っています。特にレオとベルのやりとりは、私が子供の頃に友達と交わした馬鹿話のようで、とても懐かしい気持ちで書いていました。


 それもあって今回最も気に入っているキャラは“ベル”です。キャラを設定する時、いろいろ細かいというか深い設定を決めています。単なるパロディネタを振るキャラではないのです(笑)。

 ベルが何者なのか、そして、エンディングでなぜゲッツェの町の下宿にいたのかについては、今のところ明かすつもりはありません。

 もし、続編を書くことになったら、明かされるかもしれませんが、それまでは皆さんのご想像にお任せします。


 その続編ですが、後書きの最初に「これをもって終わります」と宣言した通り、元々続編の予定はありません。

 続編を書くコンセプトでキャラを設定しておらず、レオとベルが強くなりすぎました。このため次は能力のインフレが起きる可能性があり、今回のような戦闘主体の狩人の話は書けないと思っています。


 ですが、皆さんからのご要望が多ければ続編の可能性はあります。といいますか、私自身、コンセプトを変えて書くのもいいかなと思い始めています。例えばレオたちが商人になって大陸公路ラントシュトラーセを旅する話なんていうのも面白いかなと。


 最後にもう一度お礼を。

 本作品をお読み頂き、本当にありがとうございました。

 愛山 雄町

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

黒猫と呼ばれた狩人(イェーガー)~三十五歳独身男が相棒の黒猫とがんばります~ 愛山雄町 @aiyama

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ