第5話 打開策発見
私達が学校に入学してからちょうど、一年後。
妹のユフィも学校に入学してきた。
すると彼女は、入学して数か月であっという間に学校中の有名人になってしまった。
学年問わず人気者になったユフィは、多くの人に囲まれていて、まるで女王様の様だった。
一か月経った頃からユフィの取り巻きが、急に増え始めた。
険しい顔をした生徒達が、いつもついてまわるようになっていた。
けれど、その生徒達は時折悲しそうな様子を見せる。
それはやはり、操られているからなのだろう。
彼女達もできれば解放してあげたい。
引き続き、資料室で調べ物をしていた私達はある対抗策を見つけた。
その対抗策があれば、妹の加護を何とかできるかもしれない。
それが証明されたのは、偶然だ。
昔のいじめっこ達に再会したリリヤが、彼等に言いかえした時に確信に変わった。
昔リリヤを虐めていたご令嬢達は、ユフィに支配されてしまったらしい。
それでうっぷんがたまっていた彼女達は、昔と同じようにリリヤを虐めようとした。
しかし、「私はもうあの時の私ではありません」「ありもしない難癖をつけるというのなら、教師に報告させてもらいます」という毅然とした彼女の態度に面食らって、すごすごと退散したようだ。
けれどその時、リリヤが彼女達に声をかけたようだ。
『待ってください。人を攻撃してしまうのは、自分が弱いからです。そして、何かに悩んで困っている時も苛立ってしまうと聞きます。ユフィさんのとりまきになっている貴方達はとてもつらそうな顔をしていました。本当はそんな事していたくないんでしょう? だったら勇気を出すべきです。私の様に!』
『はぁ、あんたに私達の何が分かるのよ! そんな事、あんたなんかに言われるまでもないって知ってるわよ!』
後から聞いたら、そんなやりとりがあったとかなかったとか。
その後、なぜかユフィのとりまきから彼女達の姿が見えなくなったのだ。
ユフィが時折、険しい顔をしてこちらを睨み付けるようになった。
そんなできごとがあったため、とりまきが減ったのは、私が何かしたと思ったのだろう。
放課後ユフィに呼び出される事になった。
私は念のために、シンフォを連れずに一人で向かった。
彼は、離れた所で待機してもらっている。
「お姉さま、私の取り巻きに何を吹き込んだの。離れていってしまったわ」
「私は何もしてないわよ。おかしな妹ね、ただの被害妄想じゃない?」
「本当に? 私お姉さまとは仲良くしたいと思っているの、私の事いじめるつもりなんてないわよね」
「あたりまえじゃない」
そこであったのは、冷や汗の出るような腹の探り合いだった。
侮られすぎないように、かつ警戒されすぎないようにするのはやはり難しい。
だが、状況を打開する方法はすでにこちらの手の中にある。
シンフォやリリヤには感謝しなければ、さっそくこれから行動を起こそう。
行動を起こす中で、彼等を説得するのには骨が折れたがどうにかやり切ることができた。
そして、機が熟したのを見計らったかのように妹も行動を起こした。
前よりずっと早い断罪だ。
妹は、知り合いの生徒達を呼び集めて、断罪の場をつくったのだった。
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