色鮮やかな万葉ヒューマンラブストーリー

丁寧な万葉歌の言葉選びと古式ゆかしい調べの良さと対比しつつ、
登場人物の生き生きとしたフレッシュ感が、実に色鮮やかです。

現実は甘くないけれど、
人生は甘々といった若々しい男女の出会いに始まり、
しっかり地に足のついた現実味がバランスよく、
現代にも通じるヒューマニズムがありありと伝わる作品だと思います。

作中で表現する「春」に、桜や菜の花ではなく、カタクリを持ってくるところにも好感が持てます。