異世界に転生したけどそんなことより静かに暮らしたい！

学生たちが狂喜乱舞する夏休み。
私――一宮舞依もまた夏休みを謳歌するはずだったが、そんな暇もなく唐突な死を迎え、異世界に転生することになる。

異世界転生。喜ぶのが正解なのだろうか、それともどのように生きていくか対策しようとするのが正解なのだろうか。
……ともかく、私が抱いたのはそんな前向きな気持ちではなかった。

「あぁ、なんて面倒くさい。私はただ、静かにしてほしかっただけだ」

そう、ただそれだけ。
別に長生きしたいだとか、死にたくないだとか、そんなことを考えたこともなかった。
だから死んだのだと気付いても、「そうか、ここで終わりか」という程度の感想しかなかった。

この思いに共感してくれなんて言わない。
ただ単純に、もう一度十数年、はたまたうん十年という時を重ねるのが億劫でならなかった…続きを読む