The Freaks
@Endroll
プロローグ
非人類における存在は、その存在自体が罪であり、
恒久的に人類へと奉仕すべきである。
これを拒む場合は死をもってなさなければならない。
――――――――『裏合衆国憲法十三条』より抜粋
今から語るのは「あの人」についての物語だ。
すでに死んでいた彼女について。
あるいは、これから死にゆく彼についての。
もし、あなたが『こちら側』の存在でないのなら、そっとこの本を閉じて、見なかったことにしても構わない。道端に捨てても結構。
いや、あなたが『あちら側』の人間である以上はこの本に火をつけ、ただの黒い炭の塊にしたとしてもぼくは文句を言えないだろう。
これは、ぼくらが語る物語だから。
けれど、もし、あなたがぼくたちと同じ住人なら、この本を最後まで読んでほしい。
あの人たちが世界の誰からもその存在を忘れられ、いなかったことにされることが、恐ろしくて気が狂いそうになる。
だから、ぼくは語るとしよう。
彼らの物語を。
あるいは、彼女たちの物語を。
世界がなぜ、ぼくらを憎み、徹底的に排除しようとしているのか。
歴史の闇の中へと放り込み、初めからいなかったことにしていたのか。
それはぼくが生まれる前からとっくの昔に始まっていたし、ひょっとすると、人間の歴史が産声をあげた瞬間からすでに行われていたのかもしれない。
とはいえ、ぼくはそれに巻き込まれることになるなんて、これっぽっちも思っていなかった。
こう言ってよければ、巻き込まれてしまう前のぼくはあちら側の『人間』だったのだ。
そう、すべてはあの日から始まっている。
忘れることはできない。三年前のあの日。
あの日も世間は、謎の連続猟奇殺人の事件で騒いでいたのを思い出す。
ぼくと「あの人」の物語は、その殺人鬼の最後の犠牲者となった『彼女』が暮らした街で、ひっそりと人知れずに始まっていた。
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