理性が死んで、理死になった

とてと

第1話 アール出動

 人々は怯えていた。

 人道に外れた者は、市民に指をさされ、理性を失い市民を攻撃し続ける怪物「理死」にされることに。

 彼らはただ、人に襲い掛かり暴力の限りを尽くし、人を殲滅するまで止まらない。

理死の行動を取り押さえるために、「救済群」が王国直属で組織された。



「巡回パトロールだりーー。」救済群の本部でアールは不満をこぼしていた。殺風景な仕事場で書類ワークもロクにせず、とても最年少の18歳とは思えない態度。  

 だらしなく、白色の髪は乱れて、眉毛は極太、整ったアールの顔が机につく。

華奢な体格の上から着るシャツはしわだらけである。


「あ~~~あ、まじめんどくせーー」—一旦、仕事場から出て姿をくらますことを思いつき、気配を殺して席を立つ。


スパイのように気づかれず、しゃがみながら、仕事場の出口を目指す。

「アール、ほんま早よパトロールいけ!」「ビクッ」アールに対しての突然の怒号が体をビビらせる。アールは飛ばし主を見上げた。


「蒼乃先輩、だって見回りしんどいから無理です」

「しんどいのはわかるけど、見回りしないと理死に素早く対応できないでしょ」


彼女は容姿端麗で、紫の長い髪が魅力に見えるが、健太にとっては恐怖でしかない。

さらに、アールとは真逆の真面目の性格。


「理死が出るかもしれないから早く行ってこい」

 

 蒼乃につまみ出される途中で、ある計画を思いついた。アールはニヤつきながら、パトロール準備を始めた。理死に備えての武装だ。


 救済群の黒のシャツとズボンに白のロングカーディガンを羽織る。

利き手側の腰に捕促銃、逆側の腰に刀サイズまで伸びる殲滅用警棒を装備する。


これはあくまで救済群が理死を捕らえる組織であるための装備方法。

アールの場合は右腰に捕捉銃、左の腰に殲滅用警棒の装備。長さは刀サイズ。

右腕に応援要請の無線。


準備を整え、アールはニヤつき救済群の本部を出た。


「あいつ、絶対何か企んでるわ」




 

 

 



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

理性が死んで、理死になった とてと @17fs175

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ