しっぽの先のリボン亭は今日も大忙し、ですのにゃ! ~私、大好きなあの子のために美味しい竹輪を焼くって決めたから~

丹生壬月

第1話 お花見ってほんと気持ちがいいよね……このまま眠っちゃいそうだよ。

○自宅・縁側


 縁側に腰かけている少女――まひろ。


 白いフリルブラウスに、膝下まで丈がある山吹色のプリーツスカートを合わせた格好。


 まひろ、膝の上で丸まる猫を撫でて微笑む。


 庭にある桜の木からは花びらが舞い、吹きこむ風がふわりとまひろの髪を揺らす。


ちくわ「(甘えるように)なぁー」


まひろ「どうしたの、ちーちゃん? お腹空いた?」


 まひろが顎を撫でると、ちくわは甘えるように喉を鳴らす。


まひろ「もう、ちーちゃんはほんとに甘えんぼさんだねー」


ちくわ「みゃおー」


 ちくわ、急かすようにまひろの指に頭を擦り付ける。


まひろ「はいはい。わかったから、ちょーっと待ってねー」


 と、笑いながら傍らに置いていた竹輪の包みを開けて、一本取り出す。


 食べやすい大きさにちぎって、まひろが口元に差し出すと、ちくわは一心不乱に食べ始める。


まひろ「ふふ、おいしい? 慌てなくていいからね」


ちくわ「にゃー」


 まひろは苦笑いしながら、竹輪をちぎって与えていく。


 突然、強い風が吹く。


まひろ「きゃっ!」


 目を閉じて、髪を手で抑えるまひろ。


 ちくわ、風が吹き込んできた方向をじっと見る。


まひろ「ちーちゃん?」


 と、いつもと違う猫の様子に首を傾げる。


 ちくわ、まひろの膝から飛び出し、庭の外へ向けて駆けていく。


まひろ「ちょっと、どうしたの!? ちーちゃん! ちーちゃーん!」


 竹輪の包みを手に握ったまま、慌ててちくわを追いかけるまひろ。

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しっぽの先のリボン亭は今日も大忙し、ですのにゃ! ~私、大好きなあの子のために美味しい竹輪を焼くって決めたから~ 丹生壬月 @newcremoon

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