流行と個性の狭間の試行錯誤

作者様は電撃文庫などで作品を出版されていた、ガチガチのプロの方です。
文字通りのプロレベルに練り上げられた世界観、魅力的なキャラクター設定、洒落た言い回しなど、優れた点は多々ありますが、私が着目したいのは、いわゆる「流行り」と「個性」の融合を試みているという点です。

作者様はいわゆるダークファンタジーを得意とされていますが、昨今の流行りは「異世界転生無双もの」に代表される、さっぱりとした軽く読める話で、長く重厚な言い回しや設定はむしろ敬遠される向きにあります。
ですが、本作品は得意とする部分を生かしながらも、読みやすさ、軽快さ、分かり易さを重点に置いて書かれているように思います。

更新頻度も高く、1話辺りの文章量も適度。新聞や雑誌の連載小説を読んでいるかのような手軽さ、それでいて魅力的なプロの文章による読み応えもあります。
本レビューを執筆した時点では、まだまだ始まったばかりでこれからどうなっていくのか、あらゆる意味で読めませんが、日々のちょっとした隙間時間にでも、ぜひ多くの方に目を通していただきたい作品です。

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