第7話 秘密結社悪役令嬢商会
聖女さまとは王宮の新年会で出会った。
お互い地味でぽっつーんとしてたのでどちらからともなく目があってお話して、そしたら気があって、同じアニメが好きで、推しキャラは違って、どんどん仲良くなっていった。たまにうち、有栖川公爵家にも遊びに来てくれるようになった。
わたしのお兄ちゃん有栖川公爵家の次期当主は優秀でイケメンだった。弟はやたら美人でキラキラしてた。そんなふたりの兄弟が自慢でもあり、うっとうしくもあった。わたしは卑屈だった。いじけてた。で、趣味に走った。聖女さまとともに。屈折したものどうし。楽しかった。
そして欲がでた。
もっと、自由につかえるお金が欲しい!
それは聖女さまも同じだった。自立したかった。誰かにごちゃごちゃ言われたくなかった。そのためにはお金です。お金があれば、あるていどの自由がかえるのです!
ある日、弟が子犬を2匹つれてきた。
おかしな犬だった。子犬だったはずがいきなり大きくなっていたり、弟となにやらしゃべっているように見えたり。そして弟の様子も、そのころからおかしかった。女体化したのである。いや、女体化ではなかった。もともとかわいかったのが、とんでもなくかわいくなってしまったのである。髪の毛が伸びて、身長も少し高くなっているようだった。超絶美少女風美少年に成長している。と思っていたら、数時間後には元に戻っていた。びっくりした。
そんなことが何度かあったが、わたし以外の家の者たちは気づいていないようだった。狼にとりつかれた狼少年。
美少女風に成長したときの弟がわたしと聖女さまの好きなアニメのキャラのなかのひとりに似ていたので、弟ではなく親戚のキラリちゃんとして聖女さまに紹介した。そしてキラリちゃんにはコスプレしてもらって3人でイベントに参加するようになった。キラリちゃんは最初、コスプレに抵抗したが絶対身バレしないしおこずかいあげるからと、なんとか丸めこんだ。
聖女さまはプロデュースの能力がおありで、歌やダンスやあざとかわいい動画をつくったりするのもおてのもの。
そして、ついに、会社を設立し、大手芸能事務所とエージェント契約するにいたった。身バレするのがいやな弟と聖女さまはベールで隠し、わたしがマネジメントした。入ってきたお金を再配分するのもわたしだ。念願のガッポガッポである。お金や、お金や、お金やー!
王立芸術音楽学院高等部芸能コース @oomorigohan
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