第6話 公爵令嬢のお茶会に聖女さま降臨

 有栖川公爵家は豪邸であった。

 庭ではコウキ君とキラ君が2匹の光輝く狼と戯れている。眼福。

 …狼?有栖川家の方々はあくまでも犬だと言いはってはいるが、外に出たら通報されるレベルで狼にしか見えんし、狼にしても白金と白銀に光輝いているって、あきらかにおかしい…って思わないんでしょうか、みなさんわ!


 で、ここにいるみなさんというのが…公爵令嬢とレイちゃんとわたし、そして聖女さまとそのお付きのシャペロンのお嬢さんとSPのお嬢さん。6人でお茶を飲んでます。わたし以外はなれたかんじでなごやかにおしゃべりをしておりますが、わたしは雰囲気にのまれ黙々とお茶とお菓子をいただいています。


 聖女さまというのは、10年ほどまえ、わたしはまだそのころ子供だったのでうろ覚えですが、異世界からこちらの世界へ召喚されておこしになられた方です。召喚されてから2、3年、聖女さまは聖女さまとしての公務に励まれておられましたが、ひょんなことから変な男にひっかかって世間的に信用を失ってしまい、その方とも引き離され、失意のうちに宮殿にひきこもってしまわれた。というはなしを聞いたことがある。ほんとのところは知らないけど。


「ミヤビちゃんには本当に感謝しているの」

 聖女さまがおっしゃった。

「何年も王宮にひきこもっていたけれど、ミヤビちゃんに出会ってから少しずつ、こうして王宮から出てこれるようになれたわ。世間のひとも、もう、わたしのこと忘れてくれたみたいで、誰も気づかないし。最近、楽しいの。数年まえまではもといた世界に帰りたいって泣き暮らしていたんだけど。召喚士たちったらひどいのよ。もとの世界に帰せることは帰せるけど、むこうの世界には迎え入れるひとがいないので、どんなタイミングでどんな場所にいっちゃうかはわからないって怖いこというのよ。」


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